SNSで反響続々、『死ぬくらいなら会社辞めればができない理由』が書籍化

2017年4月13日 19:09

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SNSを中心に話題を呼んだ『死ぬくらいなら会社辞めればができない理由』は、現代の働き方に一石を投じる書籍となっている(c)あさ出版/汐街コナ

SNSを中心に話題を呼んだ『死ぬくらいなら会社辞めればができない理由』は、現代の働き方に一石を投じる書籍となっている(c)あさ出版/汐街コナ[写真拡大]

■SNSで公開された漫画が書籍化
 4月10日に書籍『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』が発売された。この書籍は漫画と共に、精神科医の監修による「過労死する前に踏みとどまるには」というアプローチでアドバイスが書かれている。今では過労死問題をはじめ働き方が見直されているが、現代人の多くがこの書籍に共感しているようだ。

■現代に増え続ける「過労死」の影響もあってヒット
 2015年12月に電通の新入社員が過労死を理由に自殺するという出来事が発生した。フリーイラストレーターである汐街コナ氏は、このニュースを見た直後にSNSに漫画『死ぬくらいなら会社辞めればができない理由』を投稿。この漫画がツイッターで30万ものリツイートがされ、多くの人から注目を集める結果となった。

 この漫画の反響を受け、2017年4月には書籍として発売。内容としては汐街コナ氏が過労死する人の心理状態をわかりやすく漫画にしたパートと、精神科医のゆうきゆう氏によるアドバイスがセットになっている。

 漫画パートは自殺に至るまでの人間心理を端的に表現。特に、過労を見えない刃物とたとえたエピソードはわかりやすい例になっている。また、実際に苦手な人間に出会った場合の対処法や、どうしても合わないと感じる人には精神よりも体が先に反応するといった事例も紹介されている。

 本書では苦手な人が隣にいるとき、その方だけジンマシンの例が紹介されている。私も苦手な人が隣の席にいる場合だけ、片方の目が見えなくなった事務員の人のケースを聞いたことがある。実際に人間自身が無理だと感じると、身体がまず機能停止するといったリアリティのある内容にも追求している。

■現代の生き方は異常なのか
 電通に限らず、ブラック企業やブラックバイトといった言葉が蔓延しつつある現代。働かなくなった若者を上司や年配の人は「根性がない」とか「やればできる」と簡単にいうが、自分を責めている人ほど『死ぬくらいなら会社辞めればができない理由』という書籍の内容が響くだろう。

 本書では実際にブラック企業で働いている人の事例が紹介されていたり、企業の辞め方についても書かれている。企業の辞め方については、辞めづらいと感じさせる企業への対処の仕方も掲載。また、辞める際の気持ちの持ち方まで描かれており、仕事を辞められない人の背中を押してくれる内容である。

 ほかにも、海外の仕事事情と比べた場合の日本での教育の在り方や考え方についても少しだけ触れている。海外を引き合いにして日本も変わればいいと促すのは違うかもしれないが、今の日本の働き方が正しいと個人的に思えない部分も大きい。洋画でも『ダラス・バイヤーズクラブ』という、政府の介入を許さないリバタニアニズムの考えが濃い映画が2013年に公開されている。世界的にみても、資本主義による働き方が変わる予兆を、当書籍の反響数から見ても感じてしまう。

 『死ぬくらいなら会社辞めればができない理由』はあさ社から出版されており、価格は1200円(税別)となっている。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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