吉野家、皿洗いにロボットを導入

2017年3月28日 06:34

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協働ロボット(co-bot、コボット)、「CORO」。(写真:ライフロボティクス発表資料より)

協働ロボット(co-bot、コボット)、「CORO」。(写真:ライフロボティクス発表資料より)[写真拡大]

 吉野家は、協働ロボット(人と共に働くロボット)を製造開発・販売するライフロボティクス社の製品である「CORO(コロ)」を、食器洗浄工程に導入するという。

 COROは2006年1月に発売された製品。人型ではなく、多関節型ロボットである。本体重量26kgで、設置の工事なども必要がなく、取り回しのいい仕様となっている。

 さて。大手牛丼チェーンである吉野家で、皿洗いの業務というのはどれくらい存在しているのだろうか。ライフロボティクス社によれば、吉野家の食器洗浄数は、1店舗1日あたり約1,300個であるという。労働時間でいうと、2.3時間だそうだ。それが、COROを導入すると、1.8時間に短縮されるという。つまり、人間が1日あたり30分かけてやる労働を、COROは代替できる。

 吉野家の全国店舗数は、約1,200である。吉野家が全国全店舗にCOROを導入する意思であるのかどうかは明らかにされていないが、仮にそうしたとして、単純に計算すると、短縮される労働力は1日あたり600時間。これに東京都の最低賃金932円をかけると、55万9,200円。

 さらにこれを365日分に換算すると、四捨五入して、吉野家にとってざっと年間約2億円の人件費節約となる勘定だ。

 COROの定価などのようなものは公表されていないので、導入から何年で元が取れる、などの計算はできないが、年間2億円の雇用削減というのは、小さな話ではなかろう。

 皿洗いは楽な仕事ではない。怪我のリスク、手荒れなど、従業員に及ぶ負担は大きい。一部の作業を機械化すればその分接客に割く余裕も増えるわけで、それ自体は結構なことである。

 外食産業というのは、ロボット導入による業務の効率化の余地が、まだ多く残されている分野であるとみなされているそうである。接客部分はともかく、バックヤードにおいては、今後ともロボットへの業務代替が進んでいくことになるのであろうか。 (記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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