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アフリカゾウは1日に2時間しか眠らない
自由に移動できる野生のアフリカゾウは1日に平均2時間程度しか眠らないという研究結果が発表された(論文、PLOS Research Newsの記事、Zee Newsの記事、New Scientistの記事)。
過去の研究では、飼育されているアフリカゾウの睡眠時間が1日平均6時間程度、野生の場合は3時間10分~3時間20分程度と報告されている。ただし、野生のアフリカゾウを夜間に観察するのは難しく、休息と睡眠を区別できないため、これまで客観的なデータはなかったという。
今回の研究対象になったのはボツワナ・チョベ国立公園で2つの群れをそれぞれ率いるメスのアフリカゾウ2頭(ゾウ1、ゾウ2)。眠っているゾウは胴体の動きが小さくなることから、睡眠障害などの研究に使われるアクティグラフィーを用い、動きが5分以上検出されない時間を睡眠時間とみなしている。
35日間にわたる観察の結果、1日の平均睡眠時間はゾウ1が2.3時間、ゾウ2が1.8時間で、2頭のデータを合わせると平均2時間となった。ただし、いずれかのゾウが全く眠らなかったか、短時間しか眠らなかった日が計4日あり、最大48時間41分にわたって眠らずに活動を続けている。翌日にリバウンドが起こることはなかったとのこと。
睡眠時の姿勢としては立ったままの場合と横たわる場合の両方が観察されているが、横たわって眠るのは数日に一度のみだったという。筋肉の弛緩するレム睡眠は横になった姿勢でのみ起こると考えられるため、ゾウがレム睡眠するとしても頻度は低いようだ。
今回の研究では対象が2頭のアフリカゾウのみであり、いずれも群れを率いるメスなので、野生のアフリカゾウ全体を代表する結果とはいえない。ゾウ2は1年未満の子供を世話しており、睡眠時間が短くなっているそうだ。また、アクティグラフィーを使用した測定は睡眠時間を長めに見積もることになるため、実際の睡眠時間はさらに短くなるとみられる。
大型の哺乳動物は小型の哺乳動物よりも睡眠時間が短いと考えられているが、アフリカゾウよりずっと大きいコククジラでも9時間以上であり、飼育状態のキリンは4.6時間程度だという。平均2時間という睡眠時間は過去に研究された哺乳動物の中で最も短く、次に短いのが家畜のウマで2時間53分であることから、現時点ではアフリカゾウを睡眠時間の最も短い哺乳動物とみなしても問題ないだろうとのことだ。
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