東電・東電Gに「つのる不信感」

2016年11月19日 12:20

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記事提供元:エコノミックニュース

東京電力エナジーパートナーが17日、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会から「卸電力取引所で不適切に高い価格で売り注文を出し、価格を不当に吊り上げていた」として、業務改善勧告を受けた。(画像は太陽光発電のイメージ)

東京電力エナジーパートナーが17日、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会から「卸電力取引所で不適切に高い価格で売り注文を出し、価格を不当に吊り上げていた」として、業務改善勧告を受けた。(画像は太陽光発電のイメージ)[写真拡大]

 東京電力から今年4月に分社化した日本最大の小売電気販売会社・東京電力エナジーパートナーが17日、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会から「卸電力取引所で不適切に高い価格で売り注文を出し、価格を不当に吊り上げていた」として、業務改善勧告を受けた。

 電力の供給姿勢が利用者へのサービスより、利益優先か、と東電グループの姿勢に疑問符をつけたくなるような不快感を持ったのは筆者だけだろうか。売り注文を出す際、家庭などに売る小売料金の原価と同水準の下限価格を設定していたようだ。このため、委員会は改善への社内体制の整備、再発防止に向けた具体的措置を実施し、12月16日までに報告するよう同社に求めている。

 一方、当該の東京電力エナジーパートナーはHPで「閾値(しきいち=売り入札の下限価格)を用いた売り入札価格の設定について(業務改善勧告)を受領した」と勧告を受けたことを公表したうえで「卸電力取引市場における相場操縦の意図は一切ありませんでした」と意図的に価格吊り上げを狙って行ったものではないとするとともに「勧告内容に対して適切に対応していく」とした。

 また「4月より休日・夜間の売り入札における下限の価格を自主的に撤廃、10月には平日昼間も含め全面的に撤廃している」とした。

 今回の勧告も含め、東電グループや東電に不信感がつのる。福島第一原発事故による除染費用についても、現在、どこまで国の求めた費用を支払っているのか。河野太郎前国務大臣が10月28日に自身のブログにアップした「続々々東電の未払い」なるタイトルの項によると「今年9月末までに国(最高裁判所を含む)から東京電力に除染に関し求償すべき金額は1兆2210億円にのぼる」と紹介し「そのうち、各省から求償した金額は83%にあたる1兆108億円」だとしている。

 では、これに東電が応じて責任を履行し、支払った額がいくらかというと、9月末まで(農水省分10月14日まで)分で「わずか5306億円に過ぎません」と河野前国務大臣が指摘する。

 国への支払い責任の履行はもちろん、東電が果たすべき責任は原発被害への賠償、除染、廃炉と多く、かつ重い。加えて、福島第一原発事故原因の徹底検証がやはり必要だ。

 新潟県の米山隆一知事は徹底検証がなされない限り新潟県にある柏崎刈羽原発の再稼働の議論は始められないと18日の県議会で表明したとの報道もある。米山知事が求めていることは全国の原発再稼働にかかる問題だけに、その姿勢を貫いて頂きたい。

 一方、東電は、この求めに真摯に応じることが、国民に応えることになるのだということの自覚をもっていただきたい。東電と東電グループの姿勢が注視され続けていることを忘れて頂きたくない。出来れば、つのる不信感を払拭して頂きたい。(編集担当:森高龍二)

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