中本パックスは17年2月期増益予想で再増額の可能性、上場来高値更新の流れに変化なし

2016年11月2日 09:00

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 中本パックス<7811>(東2)は食品関連を中心にグラビア印刷、ラミネート加工、コーティング加工、および成型品を展開している。コンビニ向け容器や自動車関連が牽引して17年2月期増益予想である。第2四半期累計の進捗率が高水準であり、利益は再増額の可能性がありそうだ。株価は好業績を評価して高値圏モミ合いから上放れた。上場来高値更新の展開に変化はないだろう。なお立会外分売(11月1日~11月4日予定)を実施する。

■グラビア印刷、ラミネート加工、コーティング加工、成型品を展開

 1941年紙販売業として創業、1952年紙製品加工を目的として中本印刷工業設立、1959年グラビア印刷加工を目的として中本グラビア印刷設立、1988年関東中本印刷(1991年中本パックスに社名変更)設立、1981年業界に先駆けて投入した柄付き食品トレーをエフピコ<7947>が採用、1995年廊坊中本包装有限公司を設立して中国に進出、2004年アールを買収して生活資材分野に本格参入、2006年中本印書館を設立して建材分野に本格参入、2016年3月東証2部に新規上場した。

 グラビア印刷、包装材料の強化・機能付加を目的として接着剤で多層複合化するラミネート加工(ドライラミネート)、素材の保護・機能付加を目的として素材表面を樹脂等の薄い膜で覆うコーティング加工、および成型品(食品用容器やトレーなど)の製造販売を展開している。生産拠点は国内9工場、海外3工場(中国)である。

■用途別には食品関連やIT・工業材関連が主力

 用途別に見ると、16年2月期売上構成比は食品関連67%、IT・工業材関連14%、医療・医薬関連4%、建材関連2%、生活資材関連12%、その他1%、売上総利益構成比は食品関連49%、IT・工業材関連21%、医療・医薬関連6%、建材関連3%、生活資材関連18%、その他4%だった。また売上総利益率は食品関連10.4%、IT・工業材関連21.5%、医療・医薬関連19.5%、建材関連15.8%、生活資材関連22.3%だった。食品関連、IT・工業材関連、生活資材関連が主力である。

 用途別製品売上構成比は、食品関連が乳製品関連22%、コンビニ関連21%、農水産関連7%、加工食品関連44%、その他5%、IT・工業材関連がモバイル関連46%、二次電池関連16%、自動車関連12%、半導体関連2%、その他24%、医療・医薬関連が湿布関連78%、医薬関連16%、病院関連5%、その他2%、建材関連が住宅関連81%、家具関連15%、その他4%、生活資材関連が圧縮袋関連30%、キッチン・掃除関連21%、文具関連8%、販促関連4%、その他38%だった。

■特許技術を用いた高機能製品の開発・用途拡大を推進

 全天候型グローバル企業を目指し、極薄フィルム(スマホ関連の遮光フィルムや食品関連のシュリンクフィルムなど)からシートダイレクトまで対応するグラビア印刷技術、徹底したクリーン環境で薄膜から厚塗り加工まで対応するコーティング加工技術、幅広い用途に対応するラミネート加工技術、リサイクル可能PETに豊富な特許を保有する素材開発技術という4つのコア技術をベースとして、高機能製品の開発や製品用途の拡大を推進している。

 グラビア印刷では競合が比較的少ない厚さ領域(厚=成型品関連、弁当容器、蓋など、薄=スマホ関連の遮光フィルム、食品関連のシュリンクフィルムなど)での展開、および安全性と環境負荷低減を実現した自社開発製品(NAK-A-PET、NC-PET、HS-PET、NTS2)の販売を強化している。特殊コーティング加工では、自社ブランドのNSセパ(シリコンを塗布したセパレーターフィルム)が、IT・工業材関連のスマートフォン・液晶ディスプレイ、医療・医薬関連の湿布剤に使用されている。ラミネート加工では、特許技術を用いたサーマルラミネート装置によって環境負荷低減(減量化・無臭化)を図り、接着性特殊三層フィルムが自動車のヘッドライニングやフロントドアトリムなどに採用されている。

 保有特許には、レトルト食品容器の製造方法、耐熱A-PET容器ならびにその製造方法、シュリンクラベル用筒状体の製造方法、サーマルラミネート装置などがある。さらにエコ・省資源化が求められる食品包装材の市場ニーズに対応すべく、リサイクル可能なPET素材の特許技術を用いた高機能製品を投入するため、薄肉剛性容器、透明耐熱PET容器、NC-PET(190℃以上の超高耐熱PET容器)、HS-PET(ヒートシールPET)などの改良・開発を推進している。

■中期的にROE8%以上目標

 中期数値目標としては、連結売上高経常利益率5%以上(16年2月期の実績は3.8%)、連結ROE8%以上(同7.7%)を掲げている。

 利益配分については、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としている。なお17年2月期から中間配当を実施する。

■17年2月期第2四半期累計の利益は計画超の水準

 10月14日発表した今期(17年2月期)第2四半期累計(3~8月)の連結業績(7月15日に売上高を減額、利益を増額)は、売上高が155億44百万円、営業利益が8億15百万円、経常利益が7億40百万円、純利益が4億11百万円だった。前年同期は四半期財務諸表を作成していないが、前年同期の参考値との比較では1.0%増収、70.3%営業増益、40.8%経常増益、47.7%最終増益だった。

 食品関連でコンビニ関連容器、IT・工業材関連で二次電池関連や自動車関連が好調に推移した。売上高は円高による為替換算影響でほぼ計画水準にとどまったが、利益は工場稼働率上昇効果などで計画超の大幅増益だった。売上総利益は15.7%増加し、売上総利益率は15.9%で2.0ポイント上昇した。販管費は横ばいとなり、販管費比率は10.7%で0.1ポイント低下した。営業外収益では持分法投資利益14百万円、営業外費用では為替差損1億21百万円を計上した。

 用途別に見ると、食品関連は売上高が2.6%増の105億97百万円で売上総利益率が0.9ポイント上昇して11.1%、IT・工業材関連は売上高が2.3%減の20億97百万円で売上総利益率が5.4ポイント上昇して26.2%、医療・医薬関連は売上高が15.8%増の6億68百万円で売上総利益率が8.2ポイント上昇して28.1%、建材関連は売上高が2.9%減の3億03百万円で売上総利益率が1.9ポイント上昇して17.7%、生活資材関連は売上高が6.4%減の16億59百万円で売上総利益率が4.7ポイント上昇して25.6%だった。

 なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期79億44百万円、第2四半期76億円、営業利益は4億48百万円、3億67百万円だった。

■17年2月期通期2桁増益予想、利益は再増額余地

 今期(17年2月期)通期の連結業績予想は前回予想(7月15日に売上高を減額、利益を増額修正)を据え置いて、売上高が16年2月期比0.9%増の307億円、営業利益が同18.2%増の13億円、経常利益が同7.1%増の12億50百万円、純利益が同8.5%増の7億50百万円としている。

 売上高は円高に伴う為替換算影響を受けるが、コンビニ関連容器などが好調に推移し、工場稼働率上昇効果も寄与して大幅増益見込みだ。売上総利益率は0.9ポイント上昇の15.1%、販管費比率は0.3ポイント上昇の10.9%の想定としている。

 用途別売上高の計画は、食品関連が0.6%増の205億93百万円、IT・工業材関連が0.5%減の41億87百万円、医療・医薬関連が17.1%増の13億38百万円、建材関連が4.2%減の6億31百万円、生活資材関連が0.1%減の35億27百万円、その他が2.5%増の4億22百万円としている。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.6%、営業利益が62.7%、経常利益が59.2%、純利益が54.8%と高水準である。通期利益予想は再増額の可能性がありそうだ。

 配当予想は年間90円(第2四半期末45円=普通配当40円+記念配当5円、期末45円=普通配当40円+記念配当5円)としている。16年2月期の年間62円50銭に対して27円50銭増配である。予想配当性向は48.8%となる。

■株価は上場来高値更新の流れに変化なし、指標面に依然として割安感

 なお10月24日に立会外分売を発表した。分売予定株式数17万600株、分売予定期間16年11月1日~11月4日で、分売値段は分売実施日の前日終値もしくは最終気配を基準として決定する。

 株価の動きを見ると、好業績を評価して高値圏2200円近辺でのモミ合いから上放れ、10月28日には上場来高値2687円まで上伸した。

 11月1日の終値2626円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS184円34銭で算出)は14.2倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間90円で算出)は3.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2721円35銭で算出)は1.0倍近辺である。時価総額は約109億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドの形だ。目先的にはやや過熱感があるものの、指標面で見れば依然として割安感があり、上場来高値更新の流れに変化はないだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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