EU法務官、著作権侵害コンテンツにハイパーリンクを張る行為は著作権侵害にあたらないとの見解

2016年4月9日 23:00

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記事提供元:スラド

著作権侵害コンテンツにハイパーリンクを張る行為は著作権侵害に該当しない、との見解をEU法務官が示している(EU法務官の意見書TorrentFreakの記事)。

この見解はPlayboyがオランダのGS Mediaを著作権侵害で訴えた裁判に関するもの。GS Mediaが運営するニュースブログGeenStijlは2011年、ファイルホスティングサービスで公開されていたPlayboyの流出写真にリンクした記事を公開。Playboyでは著作権侵害コンテンツにハイパーリンクを張る行為も著作権侵害にあたると主張している。審理を行うオランダの裁判所では、ハイパーリンクを張る行為が公衆送信に該当するかどうかの判断を欧州司法裁判所に求めていた。

これまでにEU司法裁判所では、著作権者が無償での一般公開を認めたコンテンツへのハイパーリンクや埋め込みについては著作権侵害にあたらないとの判断が示されていた。一方、著作権者が公開を認めていないコンテンツへのリンクに関して判断が求められるのは初めてのことになる。EU法務官は誰もがアクセス可能な場所で公開されているコンテンツへのハイパーリンクは公衆送信に該当しないとの見解を示し、ハイパーリンクを張った人物がリンク先のコンテンツが著作権者の許諾を得ずに公開されたことを知っているかどうかは重要ではないとしている。つまり、GeenStijlの記事は著作権侵害に該当しないことになる。

欧州司法裁判所はEU法務官の意見に拘束されないが、多くの場合はEU法務官の意見に基づいた判決が出されるという。画期的な判決を導く可能性のある意見だが、この意見は本件に限り適用されるものであると欧州司法裁判所は強調しているとのことだ。 スラドのコメントを読む | YROセクション | 海賊行為 | EU | 法廷 | YRO | 著作権

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