有力候補株に花粉症関連株がいよいよ浮上か=浅妻昭治

2016年2月8日 09:13

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

■往って来いの2月相場でもう一つロケットスタートを期待したい

 2月相場のロケットスタートは、ほぼ空中分解状態となってきた。ロケットスタートの発射台は、日銀が、1月29日に決定したマイナス金利を導入する追加金融緩和策、いわゆる「黒田バズーカ3」のサプライズで、日経平均株価は、29日取引時間中の安値から1138円高し、マーケットにはどよめきが起こったが、これも束の間、2月2日以来の4日続落で、急騰幅の帳消しどころか往って来い以上の下げとなったからだ。中国の低調な経済指標や、為替相場が、追加緩和策前の水準の1ドル=116円台まで円高に揺り戻されていることが、再びリスクオフ材料として圧迫しており、投資家マインドとしては、大発会以来6日続落して始まった今年1月相場の底なし沼状態の恐怖感が募ってくる。

 ただ1月相場と違うのは、「黒田バズーカ3」が確かに発動された事実があることだ。だからロケットスタート相場の今後の行方は、日銀の黒田東彦総裁とマーケットとのせめぎ合い、3月に金利引き上げを見送るかどうかのFRB(米連邦準備制度理事会)との駆け引きなどがカギを握ることを意味している。現に黒田総裁は、29日に決定した0.1%のマイナス金利は、なお次々と引き下げが可能としつつ、マイナス金利が銀行の経営問題までは発展せず、個人の預金金利がマイナスとなることはないと強調し、二段ロケット、三段ロケットの点火を匂わせており、29日以来、年初来安値を更新中の銀行株の株価が下げ止ってくれさえすれば、マーケットのムードが変わるかもしれない可能性を示唆してくれている。

 また、今後の政治日程として5月の伊勢志摩サミット、7月の参議院選挙などの重要イベントが目白押しとなるなか、強気、正面突破でなる安倍晋三首相についても、このまま手をこまねいて株安を傍観するだけとは考えにくく、「アベノミクスの正念場」、「経済の好循環」などの常套フレーズからは一歩踏み込んだ何らかのアナウンス、口先介入も期待したいものである。かつて米国で「バイ・マイ・アベノミクス」と日本株買いをセールストークしたことを忘れてはいないはずだからだ。

 一方、全面安相場のなかでも1月相場と同じような共通の動きもある。1月相場では、民泊関連株やフォンテック関連株などの一部のテーマ株に逆行高する銘柄があったが、2月相場でも、折からの決算発表とともに、少数派ながら業績上方修正銘柄を買い上がる動きがあることだ。代表株はヤマハ<7951>(東1)で、業績の上方修正に増配、自己株式取得が加わってストップ高、集中人気となった。これはほぼ全面安のなか、市場にはなお根強い買い気は残っていることを裏付けている。そこでこのエネルギーがどの程度の規模になるかは未知数だが、これを手掛かりに2月相場で何かをキッカケに別口でロケットスタートをするかもしれないと期待させてくれるセクター株がある。きのう7日から始まって中国の春節(旧正月)休暇関連株といよいよスギ花粉の飛散が始まる花粉症関連株である。民族大移動と形容される春節では、大挙して中国から観光客が訪日して、中国景気の失速懸念のなか「爆買い」が復活、インバウンド(外国人観光客)関連株の再発進につながるかがカギとなる。

 花粉症も毎年、日本人の5人に1人が罹る国民病で、今年1月21日に東京都が発表した今春の花粉飛散予測では、東京都区部の飛散花粉総数は、昨春の1.6倍、例年の1.1倍となっている。飛散開始時期も同予測では、都区部が2月8日から9日と例年より早めとしていたが、2月1日にはこれが7日から9日と前倒しになるとされており、テレビでも花粉の飛散警報の放送が始まっている。また2月2日に環境省が発表した花粉飛散予測(第2報)では、一部地域では飛散開始が、第1報より早まるとするとともに、飛散のピーク時期は、第1報通りに関東地方では、2月下旬~3月下旬として、このピークの前後10~20日が花粉量が多いと注意を喚起した。今週の週央から気温が上昇、春の陽気になるとも予想されているだけに、街中でマスクやメガネをかける人の姿が目立つはずで、花粉症関連株相場がいよいよ本番を迎える。

 しかも、花粉症に加えて2月からはアジア大陸から飛来する黄砂のシーズン入りとなる。これも発生元は、中国の砂漠で、これに中国で深刻化している大気汚染物質のPM2.5が相乗する。環境省の花粉飛散予想では昨年、花粉飛散量が少なかった中国・四国・九州地方では、昨年より花粉飛散量が「かなり多い」としており、花粉症対策グッズや関連需要の拡大を起爆剤に薬品株、マスク株、ドラッグストア株などが関連株に浮上するが、関連株のなかには業績の上方修正をした銘柄も含まれており、ロケットスタートするか注目されることになる。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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