宮城沿岸部で抑うつなどメンタルヘルスのリスクが高い――東北大

2016年1月24日 06:09

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 東北大学東北メディカル・メガバンク機構は23日、2013‐14年度に宮城県内の24,703人に行った長期健康調査の分析結果を発表した。太平洋沿岸部地域において、抑うつ傾向などメンタルヘルスのリスクが高い傾向が引き続き見られたが、わずかながらも回復傾向もうかがえたという。

 東北メディカル・メガバンク計画は、東日本大震災からの復興事業として計画され、宮城県では東北大学、岩手県では岩手医科大学が事業主体となり15万人の参加を目標とした長期健康調査(地域住民コホート調査:8万人。三世代コホート調査:7万人)を実施している。

 今回調査の対象となったのは、13年5月20日~15年3月1日までの間に、宮城県内の内陸部と沿岸部を含む特定健康診査会場等で参加した、男性9364人と女性15339人の合計24,703人。採血・採尿と調査票(アンケート)の結果を分析した

 その結果、太平洋沿岸部地域で抑うつ傾向などメンタルヘルスのリスクが高い傾向が引き続き見られたが、わずかながらも回復傾向がうかがえた。また、東日本大震災の被災状況と高血圧等の治療中断との間に、とくに太平洋沿岸部地域において関連がみられた。さらに、東日本大震災後の環境の変化やこころの状況と、睡眠薬の服用開始とに関連がみられたという。

 同機構では、13年度と比較して、14年度においては全般的に、内陸部と沿岸部のリスク差が縮小する傾向があるものの、抑うつ傾向、不眠、および心的外傷後ストレス反応(PTSR)については、14年度も沿岸部で有意にリスクが高く、特に沿岸部において、引き続きメンタルヘルスに対するケアを進めていくことが重要であることが示唆されたとしている。(記事:町田光・記事一覧を見る

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