セイキチョウは、求愛行動時に“タップダンス”をすることを発見―北大・太田菜央氏ら

2015年11月27日 23:02

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今回の研究対象となったルリガシラセイキチョウの近縁種であるセイキチョウの雄の求愛行動。ルリガシラセイキチョウと同様のタップダンス行動を行う。(北海道大学の発表資料より)

今回の研究対象となったルリガシラセイキチョウの近縁種であるセイキチョウの雄の求愛行動。ルリガシラセイキチョウと同様のタップダンス行動を行う。(北海道大学の発表資料より)[写真拡大]

  • (a) ルリガシラセイキチョウ雄の求愛行動の様子。(b) 複数のステップを含むジャンプの様子。(c) 求愛行動について時系列で表したもの。求愛時に複数のステップを含むジャンプを繰り返し、その間に何度か歌をさえずる。(北海道大学の発表資料より)

 北海道大学の太田菜央氏らによる研究グループは、一夫一妻制で雌雄ともにさえずり、踊ることができるルリガシラセイキチョウのダンス行動をハイスピードカメラで撮影することにより、ヒトの目では捉えることができない非常に高速度で複雑なダンス行動を発見した。

 これまで、鳥類の中でも特に鳴禽類は、他個体からさえずりを学習する能力があることから音声コミュニケーションの研究が多くなされてきた。しかし、さえずりと同時に行われるダンスや、雌との双方向的なコミュニケーションについての詳細は明らかになっていない。

 今回の研究では、社会的一夫一妻制の鳴禽類で、さえずりと同時に巣材をくわえながらジャンプを繰り返すという非常に複雑な求愛行動を雌雄ともに行うルリガシラセイキチョウをハイスピードカメラで撮影し、その映像を元にダンス行動の性差や個体内変動について調査した。

 その結果、セイキチョウのダンスには、一度跳ねただけに見える行動の中に複数回足を地面に叩きつけるタップダンスのような行動が含まれていることがわかった。また、歌っていたかどうか、パートナーが近くにいたかどうかでダンスに変化が見られるのかを調べたところ、歌っている時のほうが1回のジャンプに含まれるステップ回数が減少する一方で、歌っている間のジャンプのテンポは上がっていること、パートナーが同じ止まり木にとまっている時はジャンプのテンポと1回のジャンプあたりのステップ回数の両方が上昇することが明らかになった。

 今後は、さえずりとタップ音の組み合わせや、求愛中の他個体との相互作用といった観点からダンスにどのような機能があるのか調べることによって、複雑なコミュニケーション行動の進化について新たな知見が得られると期待されている。

 なお、この内容は「Scientific Reports」に掲載された。論文タイトルは、「Tap dancing birds: the multimodal mutual courtship display of males and females in a socially monogamous songbird」(和訳:タップダンスをする鳥:社会的一夫一妻制鳴禽類の複数感覚モダリティにまたがる雌雄双方向的な求愛ディスプレイ)。

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