主要査読誌3誌掲載の心理学の実験結果、追試で同じ結果が得られたのは39パーセントのみ

2015年9月1日 17:54

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward 曰く、 主要査読誌3誌に掲載された心理学の実験結果を再現する追試を行ったところ、元研究と同じ実験結果が得られたのはそのうちの39パーセントのみだったという(AFPScienceScience誌掲載の論文概要)。

 2008年に主要学術誌3誌に発表された心理学と社会科学の研究論文100件について追試を行ったところ、このような結果が得られたという。追試論文の執筆者の1人であるノセック氏は、研究者が研究成果を発表するプレッシャーに常にさらされていることが実態の歪曲に寄与している可能性を指摘しているとし、次の様に述べている。「研究していることすべてが発表に至るわけではない。新規性があり、肯定的で、整然とした結果が査読を通過する可能性が高く、これは、自説にそぐわない否定的な結果や研究を除外するという発表の偏向につながる恐れがある。」

 もともと心理学分野の研究成果にはその解釈や結果の妥当性について批判も少なくない。しかしタレこんだ私は心理学のみならず現在の科学一般の抱える問題のもっとも顕著で失望させる一例であるように見える。理路整然としてよくまとまった研究結果は価値が高いが、その一方で研究としてまとめられない「見捨てられた」実験結果についても何らかの価値はあるはずだが、それは発表の機会を通常得られず、インセンティブの観点からは研究者は研究していなかったのと同様に扱われる。

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