慶應大、テロメア長と炎症が長寿に関連していることを明らかに

2015年8月6日 19:33

印刷

 慶應義塾大学の新井康通専任講師らの研究チームは、テロメア長と炎症が長寿のメカニズムに関連していることを明らかにした。

 近年、マウスによる研究によって、炎症が老化を促進する要因であることが証明されている。しかし、現在利用できる抗炎症薬は、様々な副作用により慢性炎症を長期的に抑制する目的では使用することができない。

 今回の研究では、1,554名の高齢者を対象に、長寿に関係があると考えられる造血能、代謝、肝機能、腎機能、細胞老化(テロメア長)の各領域のバイオマーカーを測定し、傾向を分析した。その結果、百寿者とその家族では、テロメア長と炎症という2つの領域に特徴があることを発見した。

 高齢者では、加齢に伴って染色体の末端に位置するテロメア長は徐々に短縮するが、100歳以上の人や遺伝的に100歳に到達する確率が高いと考えられる人は、テロメア長がより長く保たれており、実際の年齢が80歳代でも、60歳代の平均値に匹敵する長さを有していることが分かった。

 さらに、高齢になるに従い上昇する炎症マーカーも低く抑えられていること、特に炎症が低いグループは、認知機能と生活の自立をより長い期間保持していることも明らかになった。

 今後は、老化に伴って炎症が起こることと、免疫能、腸内環境、食事との関連を解析することによって、新しい健康増進法の開発に繋がると期待されている。

 なお、この内容は「EBioMedicine」に掲載された。論文タイトルは、「Inflammation, but not telomere length, predicts successful ageing at extreme old age: a longitudinal study of semi-supercentenarians」。

関連記事