北大、自由に動くマウスの脳内で遺伝子発現と自発行動の長期同時計測に成功

2015年8月3日 21:31

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(上)光ファイバーを用いた無麻酔・無拘束マウス脳内視交叉上核からの時計遺伝子発現と自発行動のリアルタイム計測の概念図。(下)個体内(in vivo)では,時計遺伝子発現に約24 時間周期のサーカディアンリズムと約3 時間のウルトラディアンリズムが存在する。(北海道大学の発表資料より)

(上)光ファイバーを用いた無麻酔・無拘束マウス脳内視交叉上核からの時計遺伝子発現と自発行動のリアルタイム計測の概念図。(下)個体内(in vivo)では,時計遺伝子発現に約24 時間周期のサーカディアンリズムと約3 時間のウルトラディアンリズムが存在する。(北海道大学の発表資料より)[写真拡大]

 北海道大学は、生体内における時計遺伝子の発現が、サーカディアンリズムを示すことを確認し、さらに時計遺伝子発現には振動周期が数時間の短周期リズムが存在することを明らかにした。

 睡眠・覚醒や体温など、生き物の生理機能は1日の単位で変化しており、この現象をサーカディアンリズムと呼んでいる。サーカディアンリズムは複数の時計遺伝子群の転写と、その産物(タンパク質)が関与するネガティブフィードバックループにより発振されると考えられているが、これまで、無拘束で自由に行動する動物の遺伝子発現を経時的に測定し、行動などの生理機能を同時に評価することはできなかった。

 今回の研究では、ホタルの発光酵素を導入した遺伝子改変マウスの脳内に光ファイバーを挿入し、サーカディアン時計が存在する視交叉上核から遺伝子発現に伴って生じる光の量を光電子増倍管を用いて1分毎に連続計測した。

 その結果、無麻酔・無拘束マウスの視交叉上核時計遺伝子発現リズムに比較すると、培養した脳スライスのリズムはいずれも2〜3時間位相が前進していることが分かった。また、自由行動マウスの視交叉上核では、時計遺伝子発現に約24時間周期のサーカディアンリズムに加え、およそ3時間周期の短周期リズム(ウルトラディアンリズム)が存在し、その振幅は各遺伝子発現のサーカディアンリズムがピークを示す時間帯に増加することが分かった。

 今後は、この無麻酔・無拘束マウスにおける遺伝子発現のリアルタイム計測法が、様々な生体機能の分子レベルの解明や、生体における薬物動態や薬物スクリーニングなどの創薬研究に貢献できると期待されている。

 なお、この内容は「Scientific Reports」に掲載された。

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