東北大、災害時に役立つ8つの「生きる力」を明らかに

2015年7月8日 11:23

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東北大学の杉浦元亮准教授らは、災害を生き抜くために有利な個人の性格・考え方・習慣が、8 つの「生きる力」にまとめられることを明らかにした。(写真:東北大学の発表資料より)

東北大学の杉浦元亮准教授らは、災害を生き抜くために有利な個人の性格・考え方・習慣が、8 つの「生きる力」にまとめられることを明らかにした。(写真:東北大学の発表資料より)[写真拡大]

 東北大学の杉浦元亮准教授らは、災害を生き抜くために有利な個人の性格・考え方・習慣が、8つの「生きる力」にまとめられることを明らかにした。

 災害は、様々な困難な場面でこれを克服する「生きる力」が試される場面であると言える。適切な危険回避行動が取れた人、避難所を上手に運営できたリーダー、復興に向けた課題解決・合意形成を適切にリードできた自治体職員など、困難な状況とそれを克服した立場によって、発揮された力は様々である。

 今回の研究結果は、東日本大震災で被災した宮城県内の1,412人の被災者を対象に、質問紙調査を実施した。質問紙調査結果のうち、性格・考え方・習慣の40項目を因子分析したところ、8つの因子を同定することに成功し、これらを「災害時の8つの『生きる力』」と命名した。

 8つの「生きる力」は、人をまとめる力(リーダーシップ)、問題に対応する力(問題解決)、人を思いやる力(愛他性)、信念を貫く力(頑固さ)、きちんと生活する力(エチケット)、気持ちを整える力(感情制御)、人生を意味付ける力(自己超越)、生活を充実させる力(能動的健康)で、これらの力の多くが実際に、危機回避・困難克服の経験と統計的に有意に相関していた。

 今後は、それぞれの力について、どのような状況・文脈で発揮されるのか、どのような認知・神経基盤によって実現されるのか、どのようにして力を育むことができるのか、を詳細に解明することが期待されている。

 なお、この内容は「PLOS ONE」に掲載された。論文タイトルは、「Eight Personal Characteristics Associated with the Power to Live with Disasters as Indicated by Survivors of the 2011 Great East Japan Earthquake Disaster」。

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