Amazonはネット通販、リフォーム業界に革命を起こせるか?

2015年7月5日 13:40

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記事提供元:エコノミックニュース

左から、ジャスパー・チャン・アマゾンジャパン代表取締役社長、杉浦淳一・大和ハウスリフォーム代表取締役社長、阿部俊則・積水ハウス代表取締役社長 兼COO、山村輝治・ダスキン代表取締役社長

左から、ジャスパー・チャン・アマゾンジャパン代表取締役社長、杉浦淳一・大和ハウスリフォーム代表取締役社長、阿部俊則・積水ハウス代表取締役社長 兼COO、山村輝治・ダスキン代表取締役社長[写真拡大]

 Amazonジャパンが同社オンラインストアのなかに新たに「リフォームストア」を開設して6月30日からリフォームに関する商品およびサービスの提供を開始した。このネット上のリフォームストアは、積水ハウスグループと大和ハウスグループ、そしてダスキンが加わって展開する住宅リフォームサービスを販売する日本初のネットショップだ。

 中古住宅や中古マンションなど、住宅ストックの積極的な活用のため、今後もリフォーム需要の増加が見込まれている。日本国内の住宅リフォーム市場は2014年に6.7兆円規模といわれている。東京五輪が開催される2020年には8兆円規模にまで拡大するとされる。

 こうしたなか、Amazonジャパンのジャスパー・チャン代表取締役社長は、「リフォームストア」のサービスの狙いを簡潔に挙げた。第一に5000点以上におよぶ充実した品揃え。第二に、Amazonならではの簡単に商品やサービスが検索できる利便性。そして最も「リフォームストア」にとって大切なコンセプトでもある「商品やサービス内容の明確化と価格の定額制」だ。

 つまりリフォームに伴う解体から商品の搬入・施工などの工事費までをパッケージ商品としてネット上に掲載し、分かりやすく提示。ユーザーはリフォームする場所・設備(システムキッチン、バス、トイレなど)を予算と共に検索できる仕組みとなっている。

 このリフォームストアに参加する積水ハウスグループの積和建設18社は、キッチンやユニットバスなどのリフォームメニューをパッケージングして同ストア最多の4011品目の「定額パッケージ型リフォーム」を展開する。積水ハウスの阿部俊則代表取締役社長は、「今後のリフォーム事業の拡大に期待している。今回、Amazonで出品するのは比較的小規模なリフォームだが、まずパッケージ型リフォームで顧客との接点を作り、その後の中規模リフォームや大規模なリノベーションにもつなげたい。当社は、これまで累計223万戸の住宅をつくってきた。それらオーナー様のリフォームを含めて、2014年度にリフォーム事業で日本一の1341億円を売り上げたが、2015年は1420億円、2016年に1570億円。そして近いうちに2000億円の事業に育てる。そのためにも『リフォームストア』は当社顧客以外のお客様の入口になればと思う」と語った。

 大和ハウスグループで同ストアに参加する大和ハウスリフォームも、キッチンや洗面台、ユニットバスなどの水回りのリフォームや点検メニューを内容と価格を明示して出品する。同社・杉浦淳一代表取締役社長によると「これからのリフォームでは、価格の定額制は避けて通れない。確かにリスクも内包しているが、透明性のある価格やサービス内容でリフォームできる環境を整える」とした。

 また、ダスキンの山村輝治代表取締役社長は「我々の仕事は新築、リフォーム後のキレイをフォローすること。これまで当社が掃除用具のレンタルやハウスクリーニングで培ってきた技術をAmazon『リフォームストア』において全国一律価格で提供する。このストアに参加することで、ユーザーとの接点拡大に期待する」と述べた。

 今回の「リフォームストア」は工事費を含めた定額制が目玉だ。「営業から現場管理を担う『リフォームディレクター』の育成にも注力して施工品質にこだわり、価格以上の価値を定額で提供する」(積水ハウス・阿部社長)と自信を見せた。

 日本の数少ない成長市場とされるリフォーム業界で、世界最大級のオンラインストアを擁するAmazonがいよいよ本格展開を開始した。ただリフォームは単なる物販ではない。工事を伴うリフォームのネット販売が、ネットユーザーやリフォーム顧客に受け入れられるか、今後が楽しみだ。また、住宅はもとより、リフォームでも最大手の積水ハウスなどが満を持してネット販売に参入した。

 ネットの「便利さ」を武器に、リフォームの潜在顧客を開拓できれば、オンラインストア、リフォーム業界双方に革命を起こし、さらなる成長の起爆剤となるだろう。(編集担当:吉田恒)

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