超分子を用いて、逆回転する分子モーターが実現

2015年7月5日 19:00

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分子モーターが動作する様子を示す概念図。走査トンネル顕微鏡の探針から電流を注入することで、ポルフィリン分子の二量体が矢印の方向に回転する。(物質・材料研究機構の発表資料より)

分子モーターが動作する様子を示す概念図。走査トンネル顕微鏡の探針から電流を注入することで、ポルフィリン分子の二量体が矢印の方向に回転する。(物質・材料研究機構の発表資料より)[写真拡大]

 物質・材料研究機構の内橋隆MANA研究者らのグループは、金属基板の上で超分子を用いた分子モーターを作製し、モーターを逆回転させることを実現した。

 分子モーターは、生物の生命活動を維持するために欠かせないナノマシンの一種であり、既に基板表面上で有機分子を使った分子モーターが作られている。しかし、モーターの回転方向を切り替えることができないという大きな問題があった。

 今回の研究では、複数の分子が共有結合より弱い水素結合などの力によって結びついてできた複雑な構造をもつ分子「超分子」を用いて、ある条件下で電流を流すことでモーターの部位を組み替え、これにより回転方向を反転させることに成功した。

 今後は、より大規模で高機能のナノマシンの構築や、人工分子モーターの動作を調べることで、生体内の天然の分子モーターが動く詳細なメカニズムの解明につながることと期待されている。

 なお、この内容は「Nano Letters」に掲載された。

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