自動車のエンジンコントロールユニット改造は所有者の権利か

2015年4月26日 14:36

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記事提供元:スラド

現在の自動車ではエンジンやブレーキなど多くの機能がエンジンコントロールユニット(ECU)によって監視・制御されており、ECUのファームウェアを変更することで自動車の機能を向上させるといった改造が行われることも多い。このような行為がデジタルミレニアム著作権法(DMCA)1201条(技術的保護手段の迂回禁止条項)の例外として認められるかどうか、米著作権局が検討しているそうだ(Autoblogの記事本家/.)。

米著作権局では3年おきに、特定の行為に対するDCMA 1201条の適用を免除すべきかどうかのヒアリングを実施している。最近ではECUのファームウェアへのアクセスを自動車メーカーが制限するケースが増加しているが、診断や修理、改造のためにファームウェアをコピー・操作することは所有者の権利として認められるべきだとして、Electronic Frontier Foundation(EFF)やFree Software Foundation、iFixitなどが意見書を提出していた。

これに対し、自動車メーカーの業界団体などは、ファームウェアを変更することでバランスが崩れ、安全性に悪影響をもたらすなどとして免除に反対している。しかし、EFFは自動車メーカーが安全性よりも利益を優先していると考えているようだ。所有者自身による修理を禁止することで、正規ディーラーや指定した修理工場での修理を強制できるようになり、ファームウェア更新によるアップグレードオプションを販売することが可能になるためだという。

著作権局では今回、27種類の行為についてDMCA 1201条の例外とするかどうかを検討しており、先日話題となったサービスの終了したゲームを保存するための改造もその一つとなっている。 スラッシュドットのコメントを読む | ハードウェアセクション | ハードウェア | セキュリティ | ソフトウェア | 著作権 | ハードウェアハック | アメリカ合衆国 | 交通

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