NICT、災害時にリアルタイムでSNSの情報を分析・検索できるシステムを試験公開

2015年4月11日 20:02

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対災害SNS情報分析システム「DISAANA(ディサーナ)」のmobile版の表示例

対災害SNS情報分析システム「DISAANA(ディサーナ)」のmobile版の表示例[写真拡大]

 情報通信研究機構(NICT)は、耐災害ICT研究センター及びユニバーサルコミュニケーション研究所において開発を行っている対災害SNS情報分析システム「DISAANA(ディサーナ)」のリアルタイム版をWeb上に試験公開した。

 東日本大震災では、Twitter等のSNS上に有用な情報が投稿される一方で、それらの情報を利活用できる分析・検索手段が十分ではなかった。そのため、NICTはこれまでSNS上に存在する有用な災害情報を迅速に分析し、被災者、復旧、救援活動等に対して有用な情報を提供できるシステムを研究開発してきた。そして、昨年11月に、東日本大震災直後の1カ月間の日本語の全投稿(ツイート)約6.5億件を対象に、対災害SNS情報分析システム「DISAANA」をWeb上に試験公開した。

 今回の研究では、現在流れているツイートをリアルタイムに分析して、入力された質問の回答候補を与えるリアルタイム版の分析・検索システムをWeb上に試験公開した。これは、SNS上にあふれる膨大な災害関連情報に対して、平易な質問を入力するだけで有用な情報をリアルタイムで分析し、その検索を可能とし、容易に回答を得ることのできるシステムとなっている。

 例えば、大雪に関する情報を取得するために、「どこで大雪が発生していますか?」「どこで孤立していますか?」という質問を入力すると、様々な表現の違いを考慮して回答候補を幅広く抽出し、また、それを地図上あるいはカテゴリ別にリストとしてわかりやすく表示する。また、このシステムは、現在流通しているツイートをリアルタイムで取得し、その分析結果を最長4日間保持する。さらに、デマ情報に対処するため、デマとの指摘や矛盾する情報がある回答候補には、特別にマークを付与して表示することができるようになっている。

 今後は、自治体等の協力の下、DISAANAを用いて、災害時を想定した実証実験を行い、実際の災害時における運用上の問題等を明らかにするとともに、更なる機能追加や使い勝手の向上を図ることが期待されている。

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