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分子科学研究所、光でオン・オフ可能な超伝導スイッチを開発
自然科学研究機構分子科学研究所(協奏分子システム研究センター)の須田理行助教、山本浩史教授、独立行政法人理化学研究所の加藤礼三主任研究員らの研究グループは13日、光に応答する有機分子を組み込んだ電界効果トランジスタを作製することで、光の照射によってオン・オフが可能な超伝導スイッチを開発したと発表した。
超伝導物質を用いた電界効果トランジスタは、高速かつ省エネルギーな超伝導エレクトロニクスの基盤技術として期待されており、これまでにも電気的にスイッチ可能な超伝導トランジスタの開発が行われてきたが、今回の技術は将来的に光で遠隔操作可能な高速スイッチング素子や、超高感度光センサーなどの開発につながる可能性があるという。
今回の実験では、このκ-Brを用いた超伝導トランジスタのゲート電極部分を、スピロピランと呼ばれる光に応答して電気的に分極する有機分子からなる薄膜に置き換えた構造を持つ、新たな光駆動型トランジスタを作製した。これまでの電界効果トランジスタでは、外部電源を用いてゲート電極へ電圧を印加し、物質に電荷を蓄積させることで電気抵抗を制御していた。
このκ-Brを用いた光駆動型トランジスタを極低温まで冷却しながら電気抵抗測定をすると、初めは絶縁体状態だったが、紫外光の照射により次第に電気抵抗が減少していき、最終的に7.3ケルビンで電気抵抗が急激に減少し、超伝導状態に転移する現象が観測された。
この超伝導状態は、紫外光の照射を止めても維持され、超伝導状態を恒久的に保持することが可能だった。また、可視光を照射すると元の絶縁体に戻る現象も観測され、光を用いて可逆にON・OFFが可能な超伝導スイッチとして動作させることが可能であることも明らかになった。
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