東大病院、新しい嗅細胞は14日目以内に匂いを嗅がないと死ぬことを明らかに

2015年2月14日 21:52

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嗅上皮の恒常性が維持される仕組みを示す図(東京大学の発表資料より)

嗅上皮の恒常性が維持される仕組みを示す図(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

  • 嗅上皮障害後の生理的回復過程と鼻閉環境下での回復過程を示す図(東京大学の発表資料より)

 東京大学医学部附属病院の山岨達也教授・菊田周助教らによる研究グループは、新しく生まれた嗅細胞は7~14日目に匂い入力がないと、既存の神経回路に組み込まれずに細胞死に至ることを明らかにした。

 匂いを感知する嗅細胞は毎日古くなったものが死に、新しい細胞が生まれるというサイクルを繰り返している。新しい嗅細胞は既存の神経回路に組み込まれるため、古い細胞が失われても嗅覚が失われることはないが、その詳細なメカニズムは解明されていなかった。

 今回の研究では、マウスに嗅細胞を全て除去した後に、新しく生まれた嗅細胞のみを観察する実験を行った。その結果、古い細胞の除去から28日後には新しい嗅細胞で完全に置き換わっていることや、新しい嗅細胞ができてから7~14日の間に匂い入力がないと細胞が成熟せずに死んでしまうことが分かった。

 今後は、適切な時期に嗅覚障害患者に匂い刺激を与えることで嗅上皮再生を促進させるリハビリに繋がると期待されている。

 なお、この内容は2月11日に「Journal of Neuroscience」に掲載された。

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