名大、カーボンナノリングの1箇所だけ原子を置き換える技術を開発

2015年1月30日 18:14

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カーボンナノリングの一つであるシクロパラフェニレンの選択的修飾反応を示す図(名古屋大学の発表資料より)

カーボンナノリングの一つであるシクロパラフェニレンの選択的修飾反応を示す図(名古屋大学の発表資料より)[写真拡大]

 名古屋大学の伊丹健一郎教授らによる研究グループは、カーボンナノリングの1箇所のみ原子を置き換える技術を開発した。

 カーボンナノリングの一つであるシクロパラフェニレン(CPP)は、9つベンゼン環がリングのように繋がっている構造をしており、カーボンナノチューブの最短分子でもある。CPPの原子を置き換えることで新たな性質を持たせることができると考えられているが、原子を1つだけ置き換える方法はこれまでなかった。

 今回の研究では、まずシミュレーションを行ったところ、CPPにクロムを反応させると、1つ目に反応したクロムが、2つ目以降のクロムの反応を阻害していることが分かった。この性質を用いて、クロムを含む官能基を1つだけ置換させ、延期や求電子剤などを加えて最後にクロムを外すことによって、ケイ素・ホウ素・エステルといった置換基を持つCPPを合成することに成功した。

 今後は、本研究成果によって分子カーボン研究がされに促進されると期待されている。

 なお、この内容は「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に掲載された。

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