消費税をいっきに3%も上げたのは大きな過ちだったが神風が吹いた

2015年1月26日 08:03

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記事提供元:フィスコ


*08:03JST 消費税をいっきに3%も上げたのは大きな過ちだったが神風が吹いた
昨年の4月に消費税率を引き上げたことは日本経済を大きく失速させた。増税後のGDP(国内総生産)の落ち込みは激しく、通年でもマイナス成長に落ち込む可能性がある。デフレを脱却していないうちにいっきに消費税を3%も引き上げたことは大きな過ちであったことは明らかだ。浜田内閣官房参与らが主張していたように年1%ずつ引き上げる等の穏当な政策を取るべきであった。アベノミクスは終わったという声もあちらこちらから聞かれた。
 しかし、ここにきて原油安という神風が吹いた。昨年前半1バレル約100ドルだった原油価格は今や50ドル以下となり半額以下の水準にまで下落している。折しもエネルギーを輸入に頼る日本は円安の進行で膨大なエネルギー金額がさらに膨らんでいるところであった。円安のスピードを大きく上回る原油安は間違いなく日本経済に恩恵をもたらす。内閣府は原油安によるGDPの押し上げ効果を5.6兆円と試算した。
 これで、日本の主力輸出産業は円安・原油安(原材料安)・米国経済堅調・法人税減税と好材料が揃い、以前の六重苦と言われた状況が想像もできなかったほど一変しつつある。原油安は電力の価格抑制・安定供給にもつながる。円安に苦しむ輸入産業も原油安(原材料安)は干天の慈雨となる。
 原油安の根本原因は供給過剰で実は神風でもなんでもないが、最大の産油国であるサウジアラビアがシェア維持戦略・米国のシェールへの打撃を与える意図でこのタイミングで減産しない意思決定をしたのは幸甚であった。
 安倍首相はついている。首相は神風が吹いている間に第三の矢を放ち、アベノミクスを本格的に軌道に乗せるチャンスを得たといえよう。六重苦の残りは規制緩和と貿易の自由化だ。《YU》

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