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北大、耳が聞こえなくても時間をかければ発声パターンを覚えることを明らかに
北海道大学の森千紘大学院生(博士課程)・和多和宏准教授らによる研究グループは、小鳥(ソングバード)を用いた実験で、声が聞こえなくても通常の3倍の日数をかけて最終的に新しい歌を覚えるようになることを明らかにした。
言語獲得のような発声学習において、聴覚入力は正常な発声パターンの発達・獲得に重要であるが、聴覚入力の有無によって発声の発達・固定化にどの程度の違いが生まれるのかは分かっていなかった。
今回の研究では、発声学習の動物モデルとしてよく用いられる鳴禽類ソングバードの聴覚除去個体を作り、どのように発声パターンの発達が起こるのかを調べた。その結果、聴覚入力がなくても個体発達に伴って歌パターンが変化すること、正常個体よりも3倍の日数をかけて最終的に歌が固定化することが分かった。
この結果は、耳が聞こえなくても個体発達過程で発声パターンは変化し、通常よりも時間がかかるものの発声パターンが固定化する時期が訪れることを示している。つまり、聴覚入力の有無は関係なく、発声可塑性が年齢のある時期で消失することを意味する。このことは、ヒト難聴者の人工内耳手術の時期を考える上で重要な示唆になると考えられるという。
また、正常個体と聴覚除去個体間で発達時の発声回数に大きく違いがなかったことから、発声学習・生成に関わる脳内遺伝子発現の動態制御には、どれだけ聴くかよりも、どれだけ声を出すかが重要ではないかと考えられるという。これは、発達過程での学習行動の量に依存して脳内遺伝子発現変化を制御する神経メカニズムが存在することを示唆する。
なお、この内容は1月21日に「The Journal of Neuroscienc」に掲載された。
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