阪大、「病は気から」の根拠となる、交感神経が免疫に及ぼす影響を明らかに

2014年11月27日 09:47

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交感神経よるリンパ球の体内動態の制御を示す図(大阪大学などの発表資料より)

交感神経よるリンパ球の体内動態の制御を示す図(大阪大学などの発表資料より)[写真拡大]

 大阪大学の鈴木一博准教授らによる研究グループは、交感神経から分泌される神経伝達物質ノルアドレナリンが、β2アドレナリン受容体を介してリンパ球の体内動態を制御する仕組みを明らかにした。

 「病は気から」と言われるように、神経系が免疫系に対して影響を及ぼしていることは指摘されてきたが、分子レベルでのメカニズムは解明されていなかった。

 今回の研究では、マウスを用いた実験で、交感神経からの入力がリンパ球に発現するβ2アドレナリン受容体を刺激することでリンパ節からリンパ球が脱出するのを抑制することや、β2アドレナリン受容体を刺激することで、リンパ球のリンパ節への保持を促す信号を受け取るケモカイン受容体CCR7とCXCR4の感受性が高まることが分かった。

 体内で炎症の誘導に関わっているリンパ球は病原体を排除する働きを持っているため、病原体の侵入部位に到達できなくなることは感染症の治癒を遅らせることに繋がる。つまり、本研究で明らかになった交感神経によるリンパ球の体内動態の制御は、「ストレスによって免疫力が低下する」ことを説明するメカニズムとなっている可能性がある。

 今後は、交感神経による免疫制御に関わる分子を標的として、ストレス応答を人為的にコントロールする新しい病気の予防・治療法の開発に繋がると期待されている。

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