理研、危険に対して冷静に対処できるようになるための脳神経回路を明らかに

2014年11月23日 17:19

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危険を知らせるシグナルに対して、回避行動を学習する能動的回避行動の学習実験の概要を示す図(理化学研究所の発表資料より)

危険を知らせるシグナルに対して、回避行動を学習する能動的回避行動の学習実験の概要を示す図(理化学研究所の発表資料より)[写真拡大]

 理化学研究所の岡本仁チームリーダー・天羽龍之介特別研究員らによる研究グループは、動物が危険を察知した時に冷静かつ適切に危険回避策をとれるようになるために不可欠な脳神経回路を発見した。

 動物は、恐怖を感じると本能的にパニック反応を起こすが、同じ経験を積み重ねると冷静な対応ができるようになることが知られている。しかし、その詳細な脳内のメカニズムは明らかになっていなかった。

 今回の研究では、ゼブラフィッシュを用いて赤ランプが点灯した後に軽い電気ショックを与え、回避行動を学習させる実験を行った。その結果、学習の初期段階で、赤ランプの点灯に対する腹側手綱核の神経細胞の活動が上昇していること、そして学習を完了した魚の腹側手綱核は、学習前の魚と反応レベルが変わらないことが分かった。

 今後は、手綱核-縫線核神経回路から伝えられた危険予測値の情報が、行動様式の学習に使われる仕組みを研究することによって、パニック障害などの疾患に対する有効な治療法の開発に繋がると期待されている。

 なお、この内容は11月20日に「Neuron」オンライン版に掲載された。

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