関連記事
ナイジェリアはどうやってエボラの感染拡大を阻止したか
ナイジェリアではリベリアから入国した1名のエボラ出血熱患者から感染が広がり、計20名の感染者のうち8名が死亡する事態となった。ただし、最後に感染者が確認された9月8日以降は新たな感染者が出ておらず、10月20日にはエボラウイルスの最大潜伏期間の2倍にあたる42日間が経過する。このまま新たな感染者が現れなければ世界保健機関(WHO)から終結宣言が出されることになるという(The Independentの記事、Business Insiderの記事1、Business Insiderの記事2、本家/.)。
ナイジェリアに最初のエボラウイルス感染者、Patrick Sawyer氏が入国したのは7月。ラゴスに到着したSawyer氏は空港の到着ロビーで気を失い、病院に運ばれた。報道によれば、感染者との接触はなかったとの申告によりマラリアとして治療を行ったが、効果がなかったため医師がエボラウイルスの検査を行ったところ陽性と判明したという。Sawyer氏は到着してから5日後に死亡したが、治療に当たった病院スタッフのほか、同じ旅客機に搭乗していた72名の乗客や空港の利用者、病院の患者などに感染の可能性があった。
(続く...)ラゴスは人口2,100万人と推計される大都会で人の出入りも多く、感染拡大が懸念されたが、保健当局では「Contact tracing(PDF)」という方法を用いて阻止に努める。この方法では、感染者が接触した人を全員特定して経過観察を21日間行い、症状が現れなければ感染リスクなしとみなす。経過観察中には隔離を行わず、保健当局への定期的な状況報告を義務付け、報告がない場合は地域の人々や保健スタッフによる確認が行われる。症状が現れた接触者は検査結果を待つことなく治療施設に隔離し、さらに接触者を特定。新たな接触者も同様に21日間の経過観察を行う。
この方法では接触者全員を特定できるかどうかが重要となる。ナイジェリアでは大統領が非常事態宣言を出したことから、患者の通話記録などへのアクセスや、警察による接触者の捜索も可能となり、900名近い接触者が特定できたとのことだ。
なお、セネガルでは8月に1名の患者が確認されたが9月5日には治癒しており、接触者に感染が拡大することもなかったとのことで、17日にWHOが終結宣言を出している。 スラッシュドットのコメントを読む | 医療
関連ストーリー:
エボラ出血熱パンデミックという目前の危機 2014年10月16日
エボラ出血熱で死亡の男性を治療したダラスの病院職員にエボラ熱陽性反応 2014年10月14日
「患者にワクチンを与えられない」、エボラワクチン開発の苦悩 2014年10月10日
米国内で初のエボラ出血熱感染者が確認される 2014年10月04日
富山化学工業の抗インフルエンザウイルス薬、フランスでエボラ出血熱の治療用として投与 2014年09月27日
世界保健機関、エボラ出血熱感染者数が最悪の場合2万人を超えると予想 2014年09月01日
リベリアのエボラ熱感染者隔離施設が襲撃される 2014年08月20日
リベリアでエボラ熱に感染した2名に対し、実験薬の「Zmapp血清」が投与される 2014年08月08日
アフリカで感染したエボラ出血熱感染者2名、米国に移送され治療へ 2014年08月05日
エボラ出血熱の流行が拡大中 2014年07月28日
総務省がパンデミック対策として国民の移動履歴記録システムを実験 2009年05月05日
※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク

