東大、地球温暖化の停滞要因を解明

2014年9月2日 17:32

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全球平均地表気温の1958年から2012年までの変化(1961~1990年平均からのずれ)を示した図。黒線は2012年までの観測値(英国ハド レーセンター作成の地表気温データセットにもとづく)、赤線と黄色の陰影は、MIROC5による気候再現シミュレーション(全強制実験)の結果を示す(東京大学の発表資料より)

全球平均地表気温の1958年から2012年までの変化(1961~1990年平均からのずれ)を示した図。黒線は2012年までの観測値(英国ハド レーセンター作成の地表気温データセットにもとづく)、赤線と黄色の陰影は、MIROC5による気候再現シミュレーション(全強制実験)の結果を示す(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京大学の渡部雅浩准教授・木本昌秀教授らによる研究グループは、全球気候モデルによるシミュレーションによって、地球温暖化の停滞要因を明らかにした。

 地球の平均地表気温の上昇率は、2001年以降は10年あたり0.03℃とほぼ横ばいの状態になっており、このような温暖化の停滞状態はハイエイタスと呼ばれている。このハイエイタスの原因を解明することは、今後の気候変化予測などの面で非常に重要であるが、これまでハイエイタスを上手く再現するシミュレーションは実現できていなかった。

 今回の研究では、気候モデルMIROC5を用いて、1958~2012年の55年間のアンサンブルシミュレーションをおこなったところ、ハイエイタスを上手く再現することに成功した。さらに、地球の内部変動による気温への寄与は、1980年代には47%、1990年代には38%、2000年代には27%であり、人為起源の気温上昇が大きくなってきていることが示された。

 今後は、海洋内部の詳細な解析や気候モデルを実際の観測値で初期化することで、気候の内部変動を数年先まで予測できるようになると期待されている。

 なお、この内容は「Nature Climate Change」に掲載された。

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