東北大、色と匂いの記憶は脳の同じ部分で処理されることを明らかに

2014年8月24日 18:26

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色と匂いの記憶を形成する報酬(左)と罰(右)を伝達する細胞(東北大学の発表資料より)

色と匂いの記憶を形成する報酬(左)と罰(右)を伝達する細胞(東北大学の発表資料より)[写真拡大]

 東北大学の谷本拓教授らによる研究グループは、ショウジョウバエの脳内で、色と匂いの記憶は同じ脳部位で処理していることを明らかにした。

 私たちは、好きな食事や食あたりをした食材の味や香りなどを強く記憶している。これらは連合記憶と呼ばれ、報酬と罰が感覚情報と結びいた状態で記憶されている。しかし、「色」と「匂い」のように異なる感覚器官から伝えられた情報がどのように処理されているのかはこれまで明らかになっていなかった。

 今回の研究では、ショウジョウバエを用いた実験で、報酬と罰を伝達する神経回路を阻害すると、視覚記憶と嗅覚記憶の両方が阻害されることが分かった。さらに、報酬や罰の情報が伝達される脳構造「キノコ体」も、視覚記憶と嗅覚記憶の両方に必要であることを解明した。

 本研究成果は、異なる感覚情報の連合記憶は脳の特定の神経回路で一括処理されていることを示しており、脳の働きの効率化という興味深いメカニズムを知る大きな手がかりとなる。

 なお、この内容は8月19日に「eLIFE」に掲載された。

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