慶應大、宇宙竜巻が発生する仕組みを解明

2014年8月20日 00:04

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(a)トルネードの1.58 GHz 電波写真(Brogan & Goss 2003, AJ, 125, 272 より作成)。(b) 1.58 GHz電波強度を表す等高線に2-5 keV のX 線イメージを重ねたもの。(c) 1.58 GHz 電波強度の等高線に一酸化炭素(CO)スペクトル線強度分布を重ねたもの。視線速度0 km/秒から+15 km/秒の成分を赤で、-17 km/秒から0 km/秒の成分を青で表示している。(d) 1.58 GHz 電波強度の等高線にヒドロキシルラジカル(OH)1720 MHz スペクトル線強度分布を重ねたもの。視線速度の色表示は (c)と同じ。(慶應義塾大学の発表資料より)

(a)トルネードの1.58 GHz 電波写真(Brogan & Goss 2003, AJ, 125, 272 より作成)。(b) 1.58 GHz電波強度を表す等高線に2-5 keV のX 線イメージを重ねたもの。(c) 1.58 GHz 電波強度の等高線に一酸化炭素(CO)スペクトル線強度分布を重ねたもの。視線速度0 km/秒から+15 km/秒の成分を赤で、-17 km/秒から0 km/秒の成分を青で表示している。(d) 1.58 GHz 電波強度の等高線にヒドロキシルラジカル(OH)1720 MHz スペクトル線強度分布を重ねたもの。視線速度の色表示は (c)と同じ。(慶應義塾大学の発表資料より)[写真拡大]

 慶應義塾大学の酒井大裕修士学生と岡朋治准教授らによる研究グループは、宇宙竜巻が発生する仕組みを解明することに成功した。

 宇宙には、宇宙竜巻「トルネード」と呼ばれる電波天体が存在しており、回転ブラックホールからの双極ジェットによって形成すると考えられていたが、その証拠は見付かっていなかった。

 今回の研究では、電波望遠鏡を用いて宇宙竜巻周辺の観測をおこなったところ、トルネード方向に2つの分子雲があること、そしてこれら2つの分子雲には空間的に広がったヒドロキシルラジカル(OH)1720MHzメーザー輝線が放射されていることが分かった。

 これらの結果から、トルネードの駆動源は分子雲衝突で形成された衝撃波がブラックホールを通過する際に発生するBondi-Hoyle-Lyttleton降着流による重力エネルギー開放であると考えられる。

 なお、この内容は8月20日「The Astrophysical Journal」に掲載される。

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