擦り合わせ型製品とモジュラー型製品

2014年8月11日 21:29

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■統合型・組合型


 今回は統合型(擦り合わせ型)製品と組合型(モジュラー型)製品の違いについて書きたいと思います。

 統合型(擦り合わせ型)は、最終製品のモデル毎にそれに合わせて、部品間の擦り合わせをしながら部品の最適設計を行い、最終製品を組み上げるタイプです。

 事例としては自動車が典型で、新しいモデルを作る毎に、エンジン、足回り、ボディ、外装、内装等の2万点から3万点ある部品を各担当設計者が擦り合わせながら、整合性をとり、仕様を決定していきます。メリットは、開発時間はかかりますが他社が簡単にまねできない独自性のある製品を作り上げる事ができることです。

 一方、組合型(モジュラー型)は汎用部品を用い、これらを標準的インターフェースに基づいて、寄せ集め、組み合わせ、結合して、最終製品にしていくタイプです。

 事例としてはパソコンが典型で、CPU等の電子部品、電源部品等、標準的な部品を組み合わせて作り上げます。メリットは手間がかからず、低コスト化、短納期化できますが、他社がすぐ真似できるデメリットがあります。

■家電業界での苦戦


 現在、パナソニック、シャープが苦戦している薄型テレビは開発当初は統合型(擦り合わせ型)でしたが、技術の進化により仕様の標準化が進み、組合型(モジュラー型)に変化しました。この結果、技術障壁がなくなり、韓国、中国等の競合他社の参入により、コスト競争が激化しました。パソコンと同様な組合型(モジュラー型)製品に変化したということです。

 つまり、パナソニック、シャープのテレビ事業が苦戦しているのは、折角、テレビについて統合型(擦り合わせ型)の能力を持っていましたが、製品が組合型(モジュラー型)になり、その能力を活かせないアンマッチ状態になったからです。
 
 事業の成功要因の一つの要素として企業が持っている組織能力と製品のアークテクチャー(設計思想)としてのタイプ(統合型(擦り合わせ型)・組合型(モジュラー型))の適合が重要な要素になると最近非常に感じます。

著者プロフィール

中山 幹男

中山 幹男(なかやま・みきお) 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役

大阪大学工学部機械学科卒業後、大手自動車メーカにおいて商品企画、設計・開発、品質管理、環境対策業務等に従事。その後大手コンサルティングファームの経営コンサルタントとして7年間勤務。
韓国の大手家電メーカを手始めに製造業を中心としたコンサルティングを実施する。1997年に「現場主義を貫き、行動的に活動して成果を出す経営コンサルティング」を目指し、A&Mコンサルトを設立し現在に至る。激変の環境変化の中で、企業の永続的な存続を前提に戦略構築、仕組改革、組織風土改革のトライアングル視点で企業の体質強化を図る。
会社URL  http://www.a-and-m.biz

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