東大、匂い受容体タンパク質を利用した匂いセンサーを開発

2014年7月31日 20:15

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今回の研究の概念図(東京大学の発表資料より)

今回の研究の概念図(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京大学の竹内昌治教授・佐藤幸治特任講師による研究グループは、動物の持つ匂い受容体を利用して、気体中の匂い物質を検知できる匂いセンサーを開発することに成功した。

 動物の鼻は、空気中にある物質を匂い受容体と呼ばれるタンパク質で捉えている。この匂い受容体は、水中(生体では鼻水に覆われた状態)でなければ機能しないため、これまでは気体中の匂い物質と検知することができなかった。

 今回の研究では、直径0.1mmの小さな穴があいているハイドロゲルマイクロチェンバーを作製し、そこに昆虫の匂い受容体複合体の遺伝子を導入したHEK293T細胞の塊を並べたところ、匂い刺激を電位変化として測定できることが分かった。さらに、マラリアを媒介するハマダラカが持っている2-メチルフェノールという匂い物質の反応を調べることで、嗅粘膜やリンパ液に含まれる成分によって匂いの反応に影響することを明らかにした。

 今後は、イヌのような超高感度な匂い検出システムが実現される可能性があると期待されている。

 なお、この成果はドイツ化学誌「Angewandte Chemie International Edition」で公開された。

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