党内からも総選挙で信問う提案あった

2014年7月26日 20:08

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記事提供元:エコノミックニュース

自民党の船田元憲法改正推進本部長は集団的自衛権の限定的ながらも行使容認に関し、5月の党内会合で「衆議院の解散・総選挙によって、国民に信を問うことも選択肢の一つだ」と提案していたことがわかった。

 船田憲法改正推進本部長は「今回の解釈変更が憲法改正に匹敵するものであれば、与党内や国会だけの議論に終わらせず、国民の意思を問うプロセスをも考えるべきではないか」との視点から述べたと自身のHPで5月26日付けの「マイ・オピニオン」で明かしている。

 船田憲法改正推進本部長は安倍総理が安保法制懇の答申を受けて行った記者会見での内容について、自身のHPで「主な提言は、これまでの政府解釈で必要最小限を超えるため認められなかった集団的自衛権の行使を解釈の変更によって条件付きで認めること。武力行使に至らないグレーゾーン事態への対応や国連や国際社会が行う集団的安全保障措置への積極的な参加についても可能とすべきと述べている。これらのことを憲法改正ではなく、解釈変更の閣議決定と自衛隊法など関連法律の改正により行うとした。これらの提言は、我が国を取り巻く安全保障環境の今後の一層の悪化に対して、抑止力を高める観点から妥当な内容と思う」と提言内容は妥当だと受け止めている。

 そして「第9条を含めた憲法改正によってこれを実現するには、相当な時間を要するため、解釈の変更によって行うことは現実政治を行う上でやむを得ないと思う」と述べ、憲法改正のハードルの高さと時間を要するゆえに解釈で実現を図るのもやむを得ないなどの認識を持っていたことをうかがわせた。

 船田本部長は「これらの内容は、実は自民党が一昨年発表した憲法改正草案の新しい9条の内容とほとんど同じ」と指摘。そのうえで「安倍内閣が進めようとする解釈変更は、限定的なものとはいえ、憲法改正に匹敵するほどのものだと言えよう」と認識していた。

 そして総選挙が「回復しつつある景気の足を引っ張りかねないことや国の安全保障を手薄にすることがあったとしたら本意ではない」と強行に求めない姿勢を窺わせ、「ならばせめて国民に信を問うほどの覚悟と、国民への懸命な説明が政府と与党議員に求められなければなるまい」と結んでいた。

 そして、6月30日付けの「マイ・オピニオン」では与党協議合意を受けて「日本の離島が外国のゲリラに不法占拠されたような時、警察力ではなかなか対応出来ず、自衛隊がその排除に出動することが考えられる。PKOで自衛隊が海外派遣され、近くにいる外国軍隊のPKOが武装集団に襲われた時、彼らを救助するという駆け付け警護が可能となる」とグレーゾーンについて説明。

 集団的自衛権の行使については「第一に、我が国並びに我が国と密接な関係にある他国が攻められ、国民の自由と安全に明白な危険が起こったこと。第二に、国家の存立と国民の権利を守るため、他の手段がないこと。そして第三に必要最小限の武力行使に限られる。このような条件の下での武力行使に国際法上の集団的自衛権が含まれるという、新たな解釈を認める内容だ」とし「国会の(個別法案の)審議では個別事態の妥当性が慎重に吟味されることになる」と綴っている。

 公明党との協議で行使3要件の文言が「他国」から「我が国と密接な関係にある」との文言に。発動の要件を国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される「明白な危険がある場合」に。また「我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容される」とより限定的にはなった。しかし、その判断は政府が行う。政府の自由裁量幅をどこまで法制の下で狭められるか。今後の法案審議に待たねばならない。

 「多国籍軍への後方支援では従来の他国の武力行使と一体化しないとする基本原則を維持し、他国が現に戦闘行為を行っている現場では支援活動をしないこととした」(公明党)としている。これら閣議決定を受けた安保法制の見直し作業が進んでいる。今後、個別の法案審議が始まれば、その内容、法案条項が憲法に反するものでないかどうか、慎重な審議が求められている。(編集担当:森高龍二)

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