「徴兵は苦役の議論 賛成しかねる」石破幹事長

2014年7月22日 22:49

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記事提供元:エコノミックニュース

 政府は内閣官房HPでの集団的自衛権行使容認にかかるさきの衆参での予算委員会の論戦を踏まえ、一問一答形式の説明を追加し、35問35答にし、政府の考えを表明している。今月5日より13問13答増えた。

 共産党は22日の機関紙で、この一問一答形式から「徴兵制も憲法解釈を変更して導入する可能性があるのでは?」との設問を取り上げ「憲法第18条(奴隷的苦役の禁止)などの趣旨から『許容されるものでなく、解釈変更の余地はない』と回答してみせますが、自民党の石破茂・幹事長は『徴兵制が奴隷的な苦役だとする議論にはどうしても賛成しかねる』と発言し、同党の船田元・憲法改正推進本部長は18条の解釈変更について『理屈上ありうる』と認めている」と問題提起した。

 与党重要ポストの幹事長、憲法改正推進本部長がこうした考えであることの真意と総裁としての立場での安倍総理の受け止めを改めて国会で追及していくことが求められている。

 また、一問一答によると、徴兵制については「今回、集団的自衛権に関して憲法解釈の変更をしたのだから、徴兵制も同様に、憲法解釈を変更して導入する可能性があるのではないか?」との問いに対し、政府は「徴兵制は、平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条(個人の尊重・幸福追求権等)、第18条(苦役からの自由等)などの規定の趣旨から見て許容されるものではなく、解釈変更の余地はありません。」と断言した。

 有事でも現行の志願制で必要数を調達できるとする根拠が示されていないなど、政府回答が確実に将来にわたって担保されるものなのかも含め、いぶかる意見もある。

 さきの一問一答は社民党の吉田忠智党首が「集団的自衛権の解釈変更時に、法制局は従前の解釈を変更することが妥当であるとの結論が得られた場合、変更することはおよそ許されないものではないと答弁された。安倍総理はやらないといっているが、将来、時の政権が徴兵制は意に反する苦役にあたらないと解釈変更を閣議決定する意思を持てば現憲法下でも徴兵制の可能性を排除できないのではないか」と質したのに、横畠裕介内閣法制局長官が答えたもので、横畠法制局長官は「憲法解釈は合理的、論理的に行うべきもの。指摘の解釈が合理的、論理的に行われるとは思われず、恣意的解釈という事なら別だが、そのようなことがおこるとは考えられない」とも断言した。

 また、「今回の閣議決定で、自衛隊員が戦闘に巻き込まれ、血を流すリスクがこれまで以上に高まるのではないか」との問いに、政府は「新たな法整備により与えられる任務は、これまで同様、危険度の高い任務になります。あくまでも、国民の命と平和な暮らしを守り抜くためのものであるという自衛隊員の任務には、何ら変更はありません。自衛隊員が、海外で、我が国の安全と無関係な戦争に参加することは断じてありません。また、我が国の安全の確保や国際社会の平和と安定のために活動する他国の軍隊に対して、いわゆる後方支援といわれる支援活動を行う場合については、いかなる場所で活動する場合であっても、これまでと同様、自衛隊の部隊の安全を確保しつつ行うことは言うまでもありません」としている。

 また「米国から戦争への協力を要請された場合に、断れなくなるのではないか」との問いには「武力行使を目的として、イラク戦争や湾岸戦争のような戦闘に参加することは、これからもありません。我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がない場合、他に適当な手段がある場合、必要最小限の範囲を超える場合は新三要件を満たさず、『できない』と答えるのは当然のことです」と答えている。

 なお、武力行使容認の三要件は「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること。これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと。必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」となっている。(編集担当:森高龍二)

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