理研、脂肪酸結合タンパク質遺伝子の異常が統合失調症や自閉症を引き起こす可能性を明らかに

2014年7月15日 21:24

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脳内で働く脂肪酸結合タンパク質(FABP)と精神疾患の関係を示す図(理化学研究所の発表資料より)

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 理化学研究所は、脂肪酸結合タンパク質を作り出す遺伝子の発現量や変異によって、統合失調症・自閉症を引き起こす可能性があることを明らかにした。

 統合失調症は、幻覚・幻聴・妄想など、自閉症は対人コミュニケーションの障害・限定的な行動や興味などの特徴がみられる精神疾患で、その原因解明や予防法開発が望まれている。これまでに、脂肪酸を体内で運搬する脂肪酸結合タンパク質(FABP)のうち、FABP7を作る遺伝子が統合失調症の原因遺伝子の一つであることが報告されていた。

 今回の研究では、FARB3・FARB5・FARB7という三つの脂肪酸結合タンパク質を発現させる遺伝子についてそれぞれ調べたところ、統合失調症の死後脳ではFARB5遺伝子の発現量が増加していること、統合失調症の生存している血液細胞ではFARB5遺伝子が減少していること、自閉症の死後脳ではFARB7遺伝子が増加していることが明らかになった。また、マウスを用いた実験では、FARB3やFARB7遺伝子を欠損させると、統合失調症・自閉症と同じような行動変化が見られた。

 現在、統合失調症や自閉症などの精神疾患の診断に用いる信頼性の高いバイオマーカーはないが、今回の研究でFABP5の発現量と脂肪酸量の変動を組み合わせて検査することでより正確なバイオマーカーとして利用できる可能性が出てきた。

 また、共同研究チームが以前行ったFABP7の研究と今回の研究によって、一部の統合失調症患者や自閉症患者では脳の発達期に脂肪酸機能の不全があることが示唆された。このことは、脳の発達期である妊娠期や乳児期・幼児期に適切な量と質の脂肪酸を摂取することや、脂肪酸機能不全であってもそれを補う適切な量と質の脂肪酸を摂取することが、予防につながる可能性を示唆している。

 さらに、発症後でも、脂肪酸の適切な摂取が症状の軽減に有効である可能性が考えられる。今後は、どの脂肪酸をどの程度、どのぐらいの期間・時期に摂取すれば症状を軽減できるのかを明らかにすることで、新たな治療法の確立につながると期待できるという。

 なお、この内容は英国科学雑誌「Human Molecular Genetics」オンライン版に掲載された。

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