カネカ、植物油脂原料から生分解性樹脂を大量生産する技術を開発 欧州展開も視野

2014年7月13日 19:11

印刷

PHBHの生産プロセスの概要を示す図(今回の研究の発表資料より)

PHBHの生産プロセスの概要を示す図(今回の研究の発表資料より)[写真拡大]

 株式会社カネカは、植物油脂原料から生分解性樹脂を大量生産する技術の開発に成功した。

 化石燃料から製造される合成樹脂は広く利用されているが、地球温暖化や廃棄物処理といった問題を抱えている。この解決策としてこれまでに、デンプン由来の生分解性樹脂の開発は進んでいたものの、脂肪酸や植物油を原料とする樹脂は生産能力が低く、工業への実用は難しかった。

 今回の研究では、土壌微生物の一種が脂肪酸や植物油を炭素源としてPHBHという生分解性樹脂を生産することを発見した。当初発見した野生菌の生産能力は工業生産向けとしては著しく低いものだったが、野生菌のPHBH合成遺伝子などを複製することで、PHBHの生産能力を高めることに成功した。その結果、年間1,000トンレベルの生産能力が実現した。

 PHBHは、生分解性や成形加工性が高く、特に農業用マルチフィルムなどで実用可能であると期待されている。また、欧州では生分解性樹脂の需要が多く、石油由来樹脂の使用が抑制される傾向にあり、スーパーマーケットのレジ袋への応用も拡大していることから、グローバル展開も図っていくという。

関連記事