東大、超伝導体の電子対の密度を光によって振動させることに成功

2014年7月12日 23:31

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超伝導NbN薄膜試料に入射したテラヘルツ波電場パルスの時間波形と、このパルス照射中に秩序パラメータが振動していることを示す実験結果。テラヘルツ電場が中心周波数0.6THz(テラヘルツ)で振動しているのに対し、秩序パラメータはヒッグス・モードとの共鳴により、その倍の1.2THzで大きく振動する。(研究の発表資料より)

超伝導NbN薄膜試料に入射したテラヘルツ波電場パルスの時間波形と、このパルス照射中に秩序パラメータが振動していることを示す実験結果。テラヘルツ電場が中心周波数0.6THz(テラヘルツ)で振動しているのに対し、秩序パラメータはヒッグス・モードとの共鳴により、その倍の1.2THzで大きく振動する。(研究の発表資料より)[写真拡大]

 東京大学の島野亮教授らによる研究グループは、超伝導体にテラヘルツ波を強く照射することで、電子対の密度を振動させることに成功した。

 超伝導は、電気抵抗がゼロになる現象で、MRI診断装置やリニアモーターカーなどに利用されている。超伝導を起こす物質の中では電子が対を形成することが知られているが、これまではその電子対の密度を光で振動させることは出来ないと考えられていた。

 今回の研究では、波長0.3mm程度のテラヘルツ波と呼ばれる光を超伝導体に強く照射したところ、超伝導体の電子対の密度が振動することが明らかになった。さらに、テラヘルツ波を照射すると超伝導体から照射した光の3倍の周波数を持った電磁波が放射されることも分かった。

 今後は、超伝導体を周波数変換素子として活用することや、超伝導状態を光を使って高速に制御することが期待される。

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