東大、原子時計より高精度な「光格子時計」に必要な技術を開発

2014年6月24日 17:16

印刷

光格子の模式図。原子(緑色)が光の定在波で作られた光格子(茶色)の中で捕獲されている。光格子は「魔法波長」と名づけられた特別なレーザー波長で構成されている。光格子の一区画ごとに原子を入れ、隣の原子との相互作用を排除する。(科学技術振興機構の発表資料より)

光格子の模式図。原子(緑色)が光の定在波で作られた光格子(茶色)の中で捕獲されている。光格子は「魔法波長」と名づけられた特別なレーザー波長で構成されている。光格子の一区画ごとに原子を入れ、隣の原子との相互作用を排除する。(科学技術振興機構の発表資料より)[写真拡大]

 東京大学の香取秀俊教授らによる研究グループは、中空フォトニック結晶ファイバ中でのストロンチウム原子分光に成功した。

 現在、セシウム原子の振り子周期を元にした原子時計によって1秒が決められている。これは、約3,000万年に1秒狂うくらいの高い精度を持っているが、さらに高精度な次世代時計として、光格子時計の開発が期待されている。

 今回の研究では、中空のコアに光を閉じ込めることができる中空フォトニックファイバーを使って光の格子を作り、そこにストロンチウム原子を捕獲することに成功した。この方法では原子同士の相互作用を抑えることが可能で、7.8kHzの周波数線幅の共鳴スペクトルを得ることに成功した。

 本研究成果は、原子時計よりも1,000倍精度の高い時計の実現へ近づいたことを意味しており、将来的に人が歩く速度でもアインシュタインの相対論的な影響を測定できるようになると考えられている。

 なお、この内容は6月17日に「Nature Communications」に掲載された。

関連記事