双葉町、美味しんぼの「鼻血描写」に正式に抗議

2014年5月9日 11:52

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記事提供元:スラド

NurseAngel 曰く、 以前話題になった『漫画「美味しんぼ」内での「福島県内では疲労感や鼻血という症状の人が大勢いる」という表現が問題視される』件の続報。福島県双葉町が、この件について小学館に抗議を行った。抗議文は下記の通り。

 平成26年4月28日に貴社発行「スピリッツ」の「美味しんぼ」第604話において、前双葉町長の発言を引用する形で、福島県において原因不明の鼻血等の症状がある人が大勢いると受け取られる表現がありました。

 双葉町は、福島第一原子力発電所の所在町であり、事故直後から全町避難を強いられておりますが、現在、原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません。

 第604話の発行により、町役場に対して、県外の方から、福島県産の農産物は買えない、福島県には住めない、福島方面への旅行は中止したいなどの電話が寄せられており、復興を進める福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせているほか、双葉町民のみならず福島県民への差別を助長させることになると強く危惧しております。

 双葉町に事前の取材が全くなく、一方的な見解のみを掲載した、今般の小学館の対応について、町として厳重に抗議します。

 平成26年5月7日福島県双葉町

 なお、小学館側は「スピリッツ22・23合併号掲載の「美味しんぼ」作中における、鼻血や疲労感の表現は、綿密な取材に基づき、作者の表現を尊重して掲載させていただきました」としている。

 また、名指しはしていないが、環境省も以下のような声明を発表している。

 放射性物質対策に関する不安の声について
平成26年5月8日 環境省環境保健部

 東京電力福島第一原子力発電所の事故による被ばくにより、確定的影響の1つとされる疲労感や鼻出血といった症状が多数の住民にあらわれているのではないかとご不安の声をいただきましたので、このような不安による、不当な風評被害が生じることを避けるとともに、福島県内に住んでおられる方々の心情を鑑みて、環境省としての見解を以下のようにお示しいたします。

 ・国連(原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR(アンスケア))が、これまでの知見に基づき公表した「2011年東日本大震災と津波に伴う原発事故による放射線のレベルと影響評価報告書」(平成26年4月2日公表)によれば、住民への健康影響について、「確定的影響は認められない」とされています。

 ・東京電力福島第一原子力発電所の事故の放射線被ばくが原因で、住民に鼻血が多発しているとは考えられません。

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