【インタビュー】H&M サステイナブルブランドとしての成長戦略 コンシャス・エクスクルーシブ 新作コレクション発売

2014年4月10日 19:39

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記事提供元:アパレルウェブ


H&Mのファッション&サステナビリティコミュニケーション責任者カタリナ・ミッドバイ氏

 本日4月10日より、H&MのConscious Excusive(以下CE)が発売となった。このCEコレクションは、H&Mが2011年から発表しているConscious(コンシャス)コレクションの一部で、数量ならびに販売店が、全世界で150店舗に限定されたプレミアコレクション。日本では、渋谷店と心斎橋店のみの取扱いとなっている。そして、発売日となった今日は、開店前から沢山の人が並び、人気の高さを伺わせていた。

 今回、このCEコレクションの新発表にあわせ、H&Mのファッション&サステナビリティコミュニケーション責任者カタリナ・ミッドバイ氏が来日したので、お話をお伺いした。

―そもそもどういう経緯でコンシャスコレクションを発表されるようになったのでしょうか?

ミッドバイ氏(以下M):H&Mが環境問題について取り組み始めたのは、実はずいぶん前からで1990年代後半にまで遡ります。以来、様々な試行錯誤をへて、またサプライヤーの協力もあり、独自に生地の開発を行ってきました。そして、2007年には、サステイナブル(持続可能)な生地を用いたコレクションを初めて発表しました。それから、2011年に、現在のコンシャスコレクションを発表するに至りました。

 もともと、H&Mは北欧の企業で環境問題に対するマインドが高いということもありますが、やはりこれからの時代、国などは関係なく、企業として環境に配慮しなければいけない時代になっていると考えています。そして、日本では津波がありましたが、世界中で竜巻や台風の被害など、至るところで地球温暖化の影響がでています。ですから、ますます環境への取り組みを強化することが必要だと考えています。

―コンシャスコレクションは、通常のコレクションと具体的にどのように違うのでしょうか?

M:コンシャスコレクションの大きな特徴は、素材です。環境に配慮した素材、例えばオーガニックコットンや、リサイクルコットン、リサイクルポリエステル、テンセル、オーガニックシルクやオーガニックレザーなどを使用しています。

―オーガニックコットンをはじめ、そういう素材を使うとどうしても価格が高くなると思うのですが、どのようにしてその低価格を実現しているのでしょうか。

M:確かにコストは高くなります。ですから、通常のコレクションよりは、やや高めの価格設定になっています。それでも、このクオリティーのものをこの値段で提供するために、数量を限定し、採算は度外視です。H&Mは、企業として短期的な利益を追うよりも、長期的な視点にたって、存続可能なものを提案する事が大事だと考えています。

―H&Mにとって、このコンシャスコレクションはどのような存在ですか?

M:コンシャスコレクションは、H&Mという企業に付加価値を与えてくれるものです。今までも、H&Mはユニセフとの活動やWWFとの活動、古着回収(日本は、世界中のH&Mの中で、一番の古着回収が多いのよ!)など、様々な社会貢献をおこなっていますが、このコレクションにより、それらの活動の幅がさらに広がります。



フラメンコやボヘミアンなどコンセプトにした「コンシャス・エクスクルーシブ」の新作。
4月8日には新作のローンチパーティーを都内で開き、過去に発表したアイテム(下右)の展示も行った。

―今回のCEコレクションのテーマは?

M:テーマは、スパニッシュトラディションです。フラメンコやボヘミアンなど、ニュートラルなカラーパレットに、ゴールドや刺繍などで繊細なディテールを加えました。

―コンシャスコレクションは、どのような女性がターゲットですが?

M:年齢のイメージは、18歳以上の女性でしょうか。このような環境問題について考えられる女性なので、グローバルで、モダンで、オープンマインドで、知的で、好奇心のある女性ですね。

―H&Mといえば、有名デザイナーとのコラボが有名ですが、このコレクションで何かそのようなコラボを予定されていたりしますか?

M:今後のことはわかりませんが、今の時点ではそのような事は考えていません。コンシャスコレクション自体、素晴らしいデザインチームが存在しますし。

―今後のコレクションについて。

M:もっとこのようなサステイナブルな活動を広げていきたいと思っています。例えば、現在オーガニックやリサイクルコットンといったサステイナブルな素材を用いたアイテムは、コレクションの約16%ですが、これをもっと増やし、最終的には100%になるようにできればと思っています。

 また、今回の新作発表会の会場では、リサイクル素材を用いたアイテムや、古着回収の取り組みなども展示され、H&Mが如何にこういった活動に力を入れているかを伺い知ることができた。ファッショナブルでありながらも、サステイナブルであることを実際に示してくれるH&Mの展開は、これからもますます目が離せない。


1週年を迎えたH&Mの古着回収。日本ではこれまで、H&M全40店で388トン(4月2日現在)を超える古着を回収しており、この数字は世界のH&Mの中でも、1店舗当たりで最も多い量だという。古着回収で集められた衣類を再生して作られたリサイクル・デニムも好評だ。

(インタビュー・文:Naoyo Madison/編集:アパレルウェブ)

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