為替週間見通し:ウクライナ情勢とテーパリングの先行きを見極める展開か

2014年3月15日 17:52

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記事提供元:フィスコ


*17:52JST 為替週間見通し:ウクライナ情勢とテーパリングの先行きを見極める展開か
■ドル・円弱含み、ウクライナ情勢緊迫化と中国のデフォルト(債務不履行)容認

ドル・円は弱含み、103円43銭から101円21銭まで下落した。クリミア自治共和国の議会が16日に予定されているウクライナからの独立の是非を問う住民投票の前に独立宣言を表明したこと、李中国首相が「シャドーバンキングを巡る金融商品について、一部で債務不履行(デフォルト)は不可避」と述べたことで、103円43銭から101円21銭まで下落した。フィッシャー次期FRB副議長が、指名承認公聴会で「経済成長の減速が雇用機会を抑制する。量的緩和縮小でも金融緩和は継続必要」と表明したことも、ドル売り要因となった。取引レンジは、101円21銭から103円43銭となった。

■クリミア・ショックと連邦公開市場委員会(FOMC)に要注目

今後のドル・円は、16日のクリミア自治共和国での住民投票の結果を受けたウクライナ情勢の進展、イエレン第15代FRB議長の下での初の連邦公開市場委員会(FOMC)でのテーパリング(量的緩和縮小)の継続を見極める展開となる。グリーンスパン第13代FRB議長は、就任直後に、株式市場の暴落「ブラック・マンデー」に遭遇し、バーナンキ第14代FRB議長も、住宅バブルの崩壊を受けた「リーマン・ショック」による株式市場の暴落に遭遇したものの、流動性供給により乗り切った。イエレン第15代FRB議長も、現在、ウクライナ情勢の緊迫化により株式市場の暴落に遭遇しつつあることで、テーパリング(量的緩和縮小)の継続か中断か、という決断を迫られている。

■ウクライナ情勢(17日)

16日のクリミア自治共和国での住民投票では、ウクライナからの独立、ロシアへの編入決定が予想されている。ロシアは、ウクライナとの国境に軍隊を集結させており、ケリー米国務長官は「欧米は17日に非常に深刻な措置をとる可能性」と警告していることで、ウクライナでの軍事衝突の可能性などに警戒する展開となる。

■中国人民元の許容変動幅拡大観測

中国人民銀行は、全国人民代表大会に向けて、米ドル買い・中国人民元売りの「非不胎化」為替介入により、中国人民元安誘導を行った。中国人民銀行は、中国人民元の許容変動幅を拡大(1%から2%へ)することが予想されており要注目か。

■日本の2月貿易収支(19日)

1月の日本の貿易赤字は、過去最高規模の-2兆7917億円に拡大した。2月の貿易赤字は、6000億円程度が予想されており、貿易赤字は減少するものの、円安要因となる。

■連邦公開市場委員会(FOMC)(18-19日)

米国2月の非農業部門雇用者数が予想を上回る前月比+17.5万人だったことで、イエレン第15代FRB議長の下での初の連邦公開市場委員会(FOMC)では、12月、1月に続き、100億ドルのテーパリング(量的緩和縮小)が予想されている。しかしながら、中国の景気減速懸念、ウクライナ情勢の緊迫化懸念を受けてニューヨーク株式市場が動揺していることで、テーパリング(量的緩和縮小)の中断の可能性に警戒する展開となる。

■リパトリ(外貨建て資産売却・円買い)

3月期末決算に向けた本邦機関投資家によるリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)により円買い圧力が強まることが予想される。

主な発表予定は、17日(月):(米)1月ネットTICフロー、19日(水):(日)2月貿易収支、20日(木):(米)2月景気先行指数


[予想レンジ]
ドル・円99円00銭-104円00銭《FA》

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