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【アナリスト水田雅展の株式&為替相場展望】円安の流れに変化なし、反応の鈍い日本株は米国株次第
<株式&為替相場展望>(16~20日)
来週(12月16日~20日)の株式・為替相場は、大勢として円安基調に変化はないが、日本株は当面は米国株睨みの展開だろう。米国株はと言えば、17日~18日に開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)後の声明に向けて思惑が交錯しそうだ。また米FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策に対する不透明感も浮上しているだけに、米国株が金融相場から業績相場へ順調にシフトするかどうかが、日本株にとっての焦点であることにも変化はない。
米国株は6日発表の米11月雇用統計が市場予想以上に強い内容だったことを受けて大幅上昇し、米FRBのテーパリング(量的緩和縮小)開始をほぼ織り込んだとの見方が一旦は広がったが、11日以降は一転して軟調な展開となって調整色を強めたため、テーパリング開始に伴う調整局面入り警戒感も再浮上している。
米FRBの次期副議長にスタンレー・フィッシャー前イスラエル中銀総裁の就任観測が浮上(11日にブルームバーグとイスラエルのテレビ局が報道)したことで、FRBの金融政策に不透明感が増したことが一因との見方もある。フィッシャー氏は「タカ派」ではないが、イエレン次期FRB議長が導入を目指すフォワード・ガイダンスの有効性に慎重な姿勢を示しているため不透明感に繋がったようだ。そして超党派の財政協議の合意を踏まえた修正予算決議案を12日に米議会下院が賛成多数で可決し、週明けにも上院が可決して成立の見通しとなったこともあり、12月のテーパリング開始観測が強まっている。
今年12月か来年3月かとテーパリング開始時期が前後することは、もはや問題ではないとの見方も優勢になりつつあるが、実際に12月にテーパリング開始を決定した場合は、目先的に市場が大きく反応する可能性が高いだろう。為替については、テーパリング見送りの場合に一時的にドル安・円高方向に傾きそうだが、基本的にはテーパリング開始でドル高・円安が加速との見方が大方のシナリオだ。ただし米国株に関しては、テーパリング開始でアク抜け感につながるのか、米長期金利上昇を嫌気して調整局面入りするのかの判断が難しい。新興国市場への影響も含めて、世界的にリスクオフの状況に繋がるかどうかも焦点だ。
そして13日にドル・円相場が5月高値を突破したにもかかわらず、反応が鈍く盛り上がりに欠ける日本株が、為替の動きに反応するのか、それとも米国株の動きに反応するのかの判断も難しい。このため18日の声明発表まで模様眺めの展開となりそうだ。また19日~20日の日銀金融政策決定会合に関しては、追加緩和の可能性が小さいだけに材料視され難いだろう。物色面では中小型株中心の個別材料物色となりそうだが、信用売り残が高水準の銘柄の踏み上げの動きに注目しておきたい。
その他の注目スケジュールとしては16日の日銀短観12月調査、中国12月HSBC製造業PMI速報値、ユーロ圏12月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、米11月鉱工業生産・設備稼働率、17日の独12月ZEW景気期待指数、米11月消費者物価指数、米12月住宅建設業者指数、米7~9月期経常収支、18日の日本11月貿易統計、中国11月70都市住宅価格指数、独12月IFO業況指数、米11月住宅着工件数、19日のユーロ圏11月経常収支、米11月中古住宅販売件数、米11月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、米12月フィラデルフィア地区連銀業況指数、19日~20日のEU首脳会議、20日の独1月GfK消費者信頼感指数、英7~9月期GDP確報値、米7~9月期GDP確報値などがあるだろう。
その後は1月21日~22日の日銀金融政策決定会合、1月28日~29日の米FOMCなどが予定されている。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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