関連記事
イートアンド Research Memo(10):関東エリアでの店舗拡大と冷凍水餃子の販売を強化
*18:31JST イートアンド Research Memo(10):関東エリアでの店舗拡大と冷凍水餃子の販売を強化
■成長戦略
中長期的な成長戦略としては、外食事業と食料品販売事業をバランスよく拡大することでトップラインを伸ばすとともに、工場の稼働率及び製造工程の内製化率を高めることで収益性を向上させる方針である。
まず、外食事業における今後の成長は、出店余地のある関東(首都圏)エリアでの店舗拡大がけん引するものと考えられる。イートアンド<2882>は、都心型モデルとして、(1)高原価・高回収タイプ:原価率の高い商品を提供するとともに坪2席以上(通常の席効率の1.5倍)を確保することで迅速な投資回収を可能とするモデル、(2)ローコストタイプ:居抜き改装及び輸入家具の使用によりリニューアル費用を最小限に抑えた低コストモデル、(3)アルコール需要喚起タイプ:アルコール比率20%超(通常の店舗は約7%)により高い粗利益率を実現するモデル、の3タイプを新たに導入することで立地環境や候補物件の状況に応じた機動的な出店を図る方針である。
また、新規加盟店である五反田店と代官山店を都内フラッグシップ店舗として出店し、未来ビジョンに相応しいデザイン(居心地の良い空間の提供やカフェ風の店内装等)にチャレンジするなど、話題性やブランド認知を高める効果を狙うとともに、新たなコンセプトづくりにも取り組んでいる。
加えて、2012年9月に開発した食後のニンニクのニオイを80%カットする新しい「元祖焼餃子」も、昼間のOLやビジネスマンなど、新たな顧客層の獲得が期待され、首都圏攻略の切り札に考えている。
なお、同社は今後の出店見通しについて、これまでの店舗拡大ペース(年間25~35店舗)を維持していく計画であるが、特に、東京オリンピック開催を踏まえ、好調なラーメン業態についても関東エリアを中心に着実な店舗数拡大を図るとともに、麺の工場稼働率を向上させていく方針である。
同社は、既存店の活性化にも取り組んでいる。その中心となるのは、「ライジング・サン・プロジェクト」と呼ばれる新しい本部支援スキームの導入である。通常、加盟店に対する本部支援は、関連して発生する諸経費(派遣するスタッフの人件費や交通費等)が加盟店負担となるうえ、数日間の指導では効果が長続きしないこともあるため、本部支援を躊躇する加盟店も見られる。同社は、諸経費を本部が負担するとともに、しばらくの間、スタッフを駐在させて支援にあたり、業績が向上した分を成果配分的に本部と加盟店が分け合うスキームを導入した。これによって、支援を依頼する加盟店側の心理的なハードルを下げるとともに、実効性のある支援が可能になると考えられる。
また、既存店の売上高の増加を図る施策として、大阪では一般的に見られるテイクアウトを全国に普及させるとともに、デリバリー(宅配)サービスにも試験的に参入し、中食ニーズへの対応に取り組んでいる。
一方、食料品販売事業における戦略の柱は、市場が拡大している冷凍水餃子と新商品開発力の強化にある。同社の冷凍水餃子市場におけるシェアは既に50%を超えるトップとなっているが、生産ライン増設により生産能力を3倍に強化するとともに、現在7,718店舗の配荷店舗数を拡大することで売上を伸ばす計画である。また、新商品開発については、ダントツ商品発案プロジェクト(DIP)を立ち上げ、「ダントツ商品の創造」「新しい食スタイルの提案」「時代の変化に常に備える」を目的とした社内の女性主導の商品開発チームを発足させた。その活動の中から2013年秋冬新商品として「味噌だれ付餃子」や「15品目のからだ想い餃子」などがリリースされている。
また、内製化推進による原価低減も目指している。同社によれば、関東工場の順調な稼働により、「たれ付き餃子」の内製単価は、OEM仕入原価と比べて約8%の低減となっている模様である。なお、2014年3月期上期の内製化率は、全体で28.9%(冷凍食品は32.1%)となり順調に進展しているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)《FA》
スポンサードリンク