ドラギ総裁のサプライズ利下げ、超ハト派姿勢でユーロ高抑制狙う?

2013年11月8日 09:51

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記事提供元:フィスコ


*09:51JST ドラギ総裁のサプライズ利下げ、超ハト派姿勢でユーロ高抑制狙う?
最近の金融市場はイベントが目白押し。きのう7日に開かれた欧州中央銀行(ECB)政策理事会では、大方の市場予想に反して政策金利が0.25%引き下げられました。これを受け、外国為替市場ではユーロ・ドル相場が急落し、一時は1.3517ドルから1.3296ドル近辺まで瞬間的に1.6%急落する場面がありました。

ユーロ圏の失業率が過去最高を更新したこと、10月のインフレ率が市場予想を大幅に下回ったことが追加利下げの根拠になったようですが、これに加え、ECBのドラギ総裁は利下げによる通貨ユーロの減価を狙っていたとの観測も持ち上がっています。

ECB理事会の前までは、10月のインフレ率など短期的な指標だけで金融政策を決められないため、ECBはもうしばらく様子見を続けて最終判断を下すだろうとの意見が金利据え置き予想の根拠となっていました。実際、今回の理事会でも、ドイツ連邦銀行(中央銀行)のバイトマン総裁などが、来月までに出そろう経済統計の結果を見たいとして利下げに反対したと伝わっています。

それでもドラギ総裁が“利下げなう”にこだわったのは、ユーロ高が経済回復の腰折れになる懸念が働いていた可能性があります。ユーロ・ドル相場は7月の安値から10月の高値まで約8%上昇。ユーロ圏のリセッション(景気後退)脱出にはじまり、最近は南欧のスペインの景気も回復しています。

為替市場ではユーロ圏景気の回復や欧州株式相場への資金流入などで基本的なユーロ高基調は続くとの見解があります。ドラギ総裁は“サプライズ好き”で有名ですが、市場予想を超えたレベルで速攻利下げをし、さらに声明でマイナス金利の可能性も示唆。一方、ECBの政策は為替を目的としたものではないと断言しており、なかなかしたたかな男っぷりを披露しました。

(フィスコ・リサーチ・レポーター)《RS》

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