NYの視点:QE縮小協議は振り出し

2013年10月26日 07:06

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記事提供元:フィスコ


*07:06JST NYの視点:QE縮小協議は振り出し

米商務省が25日発表した9月の耐久財受注は前月比3.7%増と市場予想の2.3%増を上回り6月以来の大幅な伸びとなった。航空機受注の増加が奏功した。一方、変動の激しい輸送用機器を除いた耐久財受注は前月比0.1%減と予想外に3カ月連続のマイナス。企業の設備投資の先行指標となる航空機を除いた非国防資本財(コア資本財)受注は1.1%減と、過去3ヶ月のうち2カ月マイナス。国内総生産(GDP)の算出に用いられるコア資本財の出荷は0.2%減。雇用統計に続き政府機関閉鎖前にすでに経済が再び鈍化していたことを示す更なる証拠となった。政府機関閉鎖を受けて10月の経済が一段と鈍化している可能性は大。

ドイツ銀行のエコノミストは7-9月期の国内総生産(GDP)を2%増から1.8%増へ引き下げた。ゴールドマンサックスのエコノミストは7-9月期GDP見通しで2%増を維持したが、受注の鈍化が10-12月期のGDPに響く可能性を指摘した。

市場でも定評のあるメドレーレポートでもアナリストは、"Fed: Ctrl-Alt-Delete"とのタイトルで「連邦公開市場委員会(FOMC)はリセットボタンをおし、6カ月前の状況(大規模な資産購入プログラムを調整するロードマップを作成するスタート地点)に戻った」との見方を示した。雇用が政府機関の閉鎖前からすでに弱まっていただけでなく、今まで回復を牽引してきた住宅市場も金利の上昇を受けて足踏み状態。すでに加速しているはずの成長も期待はずれのペースで物価も低く、「FOMCでは、いずれディスインフレの協議が台頭する可能性がある」と指摘した。このため、FRBが現在実施している政策変更の垣根は今までにないほど「高くなった」との見解だ。

29-30日に開催が予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが量的緩和第3弾(QE3)の縮小を開始する確率は「ゼロ」とする市場の見通しに、メデレーレポートのアナリストも同意を示している。《KO》

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