腰痛を防いで生産性を保つ:負荷を軽減する座り方のコツ

2013年9月21日 20:19

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 この記事を読んでいる皆さんは、自分の生産性を向上させることにおおいに興味を持っていることでしょう。しかしながら、たった今、皆さんは自分の生産性を脅かし、健康に永続的または恒久的にダメージを与える原因となることをしています。なお悪いことに、そのことに気が付いてない恐れがあります。

 大部分の人は職場のワークステーションが健康に及ぼす影響を認識していません。考えてみてください。多くの人は、毎日5~8時間パソコンの前に座ってキーボード入力に没頭し、マウスを動かしたりクリックしたりしながら過ごします。

 その間、首や背中、肩や手くびやおしりが健全な人間工学の考えに則した適切な位置に置かれていないと、海の波に洗い叩かれる岩のように、そこには常に負荷がかかります。その結果、慢性痛に悩まされて生産性が低下する、といった事態が起こりかねないのです。

 信じられませんか?けれども統計データはうそをつきません。

 米国立健康統計センター(NCHS)によると、筋骨格痛は45歳未満のアメリカ人が医者にかかる理由の2番目に上がっており、また彼らが欠勤の原因として挙げる最大の理由および身体障害の主要原因になっています。(アメリカ人の2千5百万人は頻繁に起こる背部痛を経験しています。)さらに米国の人口の80%が一生のうちに慢性背部痛を経験するだろうと推定されています。

 背部痛の原因が人間工学的にみて質の低いオフィス環境に必ずしもあるわけではありませんが、疑いなく、痛みを感じている人が治療しようとしている過程では人間工学的に質の低いオフィス用品はその妨げになります。

 これでもまだ信じがたいとお思いですか?米医学研究所では、痛みが原因の生産性低下による損失は2970億ドルから3350億ドルになると見積もっています。健康と生産性に関して言えば、あなたのワークステーションは重要な意味を持つのです。

 それでは、どうすればいいのでしょうか。

 明らかに、圧倒的大多数の人は単にパソコンの電源を引き抜きデスクから遠ざかって体が癒えるのを待つということはできないでしょうが(そうしてみたいとは思うでしょうけれど!)、生産性を向上できる機会をみすみすどぶに捨てることのないよう、今日変えられることが、小さいことですがあるのです。

 それではここで、ワークステーションにおける反復動作が原因で起こる障害のリスクを減らす簡単な10の方法を、痛みを感じる可能性がある身体部位ごとに分けて、ご紹介しましょう。

■手首、手のために
1.キーボード操作をするとき、手は肘より下に位置したほうがよいのですが、多くの人の場合、腕がわずかに上方に曲がっています。これでは手首に負荷がかかってしまい、手根管症候群を引き起こす可能性があります。

2.親指と指の使用頻度を最小限に留めて関節痛が起こるのを防ぎましょう。ブラックベリーやiPhoneの操作のし過ぎやマウスホイールの使いすぎはけがの原因になる可能性があります。

3.足が床にぴったりとついているのなら、前腕は太ももと並行になっていなければなりません。この角度が“V”字型になればなるほど、手への血流が減少する可能性が高くなります。

4.よく知られた考え方には反しますが、リスト・レストは使ってはいけません。これを使うと、手首の神経にかかる負荷が増してしまうからです。

■肩、首のために
1.キーボードはスペースバーが胸の正面にくるように置きます。片側によらないようにしましょう。

2.パソコンのスクリーンは体から腕一本分離れたところより外側には置かないようにします。最初は近いように感じるかもしれませんが、そうすることで目を細めて画面を見たり頭が前に傾いたりするのを防げます。

3.もし頭が自然な位置(わずかに下向き)にあるとき画面の真ん中を見ていなかったら、モニターの高さを上下して調整しましょう。

4.頭を前に傾けるのはやめましょう。傾けると肩や首に無用な負荷をかけてしまいます。

■腰のために
1.背もたれは座ったときに腰の負担を軽減するランバー・サポートとして機能します。もしその役割がきちんと果たされていなかったら、小さ目の枕や巻いたタオルを腰と背もたれの間に入れるといいでしょう。

2.少し(ごくわずかに)もたれかかる姿勢で座ります。そうすると腰への負荷が軽減されます。

3.姿勢に気をつけて前屈みにならないようにします。そうしなければ腰に負担がかかるからです。

■それ以外の方法
1.自分の姿勢を意識します。

2.1時間に1回は椅子から立ち上がって、歩き回り、ストレッチを数分間します。

3.1日に色々な仕事をします。体にかかる反復的な負担を減らせるように、1時間パソコンで調査をしたら、そのあとは電話対応やファイリングの残りをするというように、同じ作業が続かないようにします。

 今までのやり方を少し変えてこれらのうちいくつかを実践すると、自分の姿勢や仕事中の身体の感じ方がよくなっているのに気が付き始めるはずです。ゆったりしていて適切に組み立てられたワークステーションで働き、ちゃんとしたオフィス整理のスキルをもつようにすると、生産性は向上し、毎日同じ間違いを何度も繰り返すことから起こる痛みや慢性的な負傷を減らすことができるでしょう。

 今回はBill Paquin氏によるゲスト投稿です。氏はVertical Health のCEO(最高経営責任者)として、患者ケアをより良くしようと試み、消費者に正確な保険関連情報を伝えることに取り組んでいます。SpineUniverse.comなどを含むウェブサイトを運営しており、そこでは背部痛および内分泌疾患に関する患者ケアを向上させることに焦点があてられています。

※この記事はKey Organization Systems提供の記事を財経新聞が日本向けに翻訳・編集したものです。

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