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週刊ダイヤモンド今週号より~東芝 “異例の新社長”が背負う二つの宿命
*08:00JST 週刊ダイヤモンド今週号より~東芝 “異例の新社長”が背負う二つの宿命
経営トップのいざこざの末に就任した東芝<6502>の田中久雄社長。2月に開かれた田中氏のお披露目会見は、東芝初となる調達畑出身の社長誕生が明らかとなったほか、公の場における現役首脳陣の衝突など、“異例ずくめ”のものとなりました。新社長は、10年ぶりの組織再編と事業の新しい柱をぶち上げ、“田中色”を全面に出しましたが、その実現を阻む大きな問題を東芝は抱えています。
田中新社長が対峙する一つ目の問題は、古くから根付く組織の縦割り文化です。東芝では1999年に社内カンパニー制度を導入。独立採算制で赤字部門の甘えを許さないというメリットはありますが、意思決定スピードの遅さ、部門間の連携不足など、さまざまな弊害を生んできました。これまで不十分だった社内横断の取り組みを実現させるため、新社長は10年ぶりの組織再編を決断。新社長が重要視する社内の求心力を高める鍵は、10年以上続いてきた縦割り文化を打破できるかどうかに懸かっています。
二つ目の問題は、成長戦略を揺るがしかねない脆弱な財務体質。東芝の二枚看板である原発と半導体は巨額投資と事業リスクの備えが必要で、財務の健全性は必須です。しかしながら、株主資本比率やDEレシオといった財務指標では、同業の日立製作所<6501>や三菱重工業<7011>などに比べて見劣りする状況。東芝はヘルスケア事業の売上高を3年で1.5倍に引き上げる目標を掲げていますが、「M&Aなしでの実現は至難の業」との見方も出ています。財務強化と成長のバランスをどう取るのか、そのかじ取りに注目が集まります。
縦割り組織の刷新と財務改善問題。長らく時の社長が戦いを強いられてきた、この二つの“宿命”に終止符を打つことができるのか——田中新社長の手腕が今、問われています。《NT》
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