米国株式市場見通し:夏季休暇中の市場関係者が多い、量的緩和縮小にも警戒感

2013年8月24日 14:40

印刷

記事提供元:フィスコ


*14:40JST 米国株式市場見通し:夏季休暇中の市場関係者が多い、量的緩和縮小にも警戒感

週初はインドネシアなどアジアの株式相場が大幅下落となったほか、長期金利上昇への警戒感から軟調推移となった。注目のFOMC議事録では、量的緩和縮小を支持する理事が目立ち、また縮小を開始するタイミングについて具体的な示唆が得られなかったことから、株価は一段安となった。週後半になると中国の製造業指数が予想を上回ったことで反発に転じた。22日の正午過ぎにナスダックでシステム障害が発生し、約3時間にわたって同市場に上場する全銘柄取引停止となったものの、取引再開後には株価は上げ幅を拡大する展開となった。週末にかけては夏季休暇シーズンで一段と出来高が縮小する中、マイクロソフトのバルマーCEOが向こう1年以内に退任すると発表したことが好感された。結局、週を通じてダウ平均株価が下落する一方で、S&P500指数やナスダック総合指数は小幅上昇。

小売関連ではアパレルのアーバン・アウトフィッターズ、ホームセンターのロウズ、家電小売のベストバイ、ビデオゲーム小売のゲームストップなどが好決算を発表して上昇。一方でアパレルのアバクロンビー&フィッチや書店のバーンズ&ノーブル、スポーツ用品小売のディックス・スポーティング・グッズ、ペット用品小売のペットスマート、オフィス用品小売のステープルズの決算が予想を下回り軟調推移となった。PCメーカーのヒューレット・パッカードは予想に一致する決算を発表したものの、2014年10月通期の売上拡大は難しいとの見通しを示したことで売られた。

9月2日がレイバーデーの祝日で3連休となることもあり、今週は夏季休暇中の市場関係者も多く、週を通じて閑散取引となることが予想される。例年レイバーデー明けから出来高が回復し、本格的な相場変動のきっかけとなることも多く、注意が必要だ。9月は統計的に最も株式相場のパフォーマンスが悪い月として知られているほか、17-18日のFOMC(連邦公開市場委員会)で量的緩和縮小に着手するとの見方も強い。また、米国の金利上昇を背景とする資金引揚げなどで、インドネシアやブラジルなど新興国の株式市場や為替相場が不安定な動きとなっていることにも警戒が必要だ。

経済指標関連では、7月耐久財受注(26日)、6月S&Pケースシラー住宅価格指数(27日)、8月消費者信頼感指数(27日)、7月中古住宅販売仮契約指数(28日)、4−6月GDP改定値(29日)などの発表が予定されている。先週公開された前回のFOMC議事録では、量的緩和縮小に着手する具体的なタイミングや条件についての示唆はなかったものの、9月のFOMCで縮小に踏み切ると見る向きが多い。但し冴えない経済指標が散見されることや、長期金利が上昇傾向にあることを鑑み、比較的小さな規模で縮小を開始する可能性もありそうだ。また7月新築住宅販売が大きく下ぶれしたこともあり、長期金利の上昇傾向が続く中で住宅市場の改善が持続するかも注目点となろう。

個別企業では宝飾品小売のティファニー(27日)、キッチン用品小売のウィリアム・ソノマ(28日)、ソフトウェアのセールスフォース・ドットコム(29日)などの決算発表が予定されている。小売各社の決算内容はまちまちとなっているものの、必需品以外の分野では苦戦する例が多いため、宝飾品や高級キッチン用品を中心に扱うティファニーやウィリアム・ソノマの決算にはやや警戒感が高まっている。

(Horiko Capital Management LLC)《TN》

関連記事