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米量的緩和の縮小観測、9月スタート観測に目新しさはなし
*09:47JST 米量的緩和の縮小観測、9月スタート観測に目新しさはなし
米労働省が15日発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週から1万5000件減少して32万件となりました。これはブルームバーグがまとめた市場予想の33万5000件を下回る数字。雇用ペースにある程度の加速感が出てきた格好で、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を9月にも開始するとの思惑が強まっています。
同日の米国債市場では10年債と30年債の利回りが、いずれも2011年8月以来の水準まで上昇(債券価格は下落)。外国為替市場ではドル・円が96円台を割り込む寸前まで下落しました。
さて、市場では新規失業保険申請件数にばかり注目が集まりましたが、15日発表された他の指標を眺めると米経済の弱さが示されたものが目立ちます。
8月のニューヨーク(NY)連銀製造業景気指数は8.24となり、事前予想の10.00を下振れ。米フィラデルフィア地区の製造業景況指数は9.3と、予想の15に届きませんでした。さらに、7月の米鉱工業生産は前月比横ばいで、0.3%上昇との予想を下回る結果に。
FRBが資産購入プログラムを9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で縮小させるとの観測自体は目新しいものではありません。これまでも、各地区連銀の高官から早期の緩和縮小に向けた発言が連日のように飛び出してきました。
こうした発言について、市場からは「9月からの縮小に向けた言葉による下準備」との見方も出ています。このため、9月に縮小されるとの見方が市場に織り込まれるにつれ、“その縮小規模”および“縮小の継続性”に新たな焦点が当たる可能性があります。
FRBは現在、毎月850億ドルの資産を購入していますが、9月の縮小額は予想の250億ドルを大幅に下回るとも想定できます。また、9月に小幅な縮小の第一歩に踏み込んだ後、経済情勢が悪化すれば縮小プロセスが停止されることも考えられます。
(フィスコ・リサーチ・レポーター)《RS》
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