NYの視点:米国の財政赤字は順調に縮小も、厳しい歳出削減は成長を押し下げ

2013年8月13日 07:02

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記事提供元:フィスコ

*07:02JST NYの視点:米国の財政赤字は順調に縮小も、厳しい歳出削減は成長を押し下げ

米国財務省が12日に発表した7月財政赤字は976億ドルと、2012年7月の696億ドルから拡大した。米連邦議会予算事務局(CBO)によると、2012年7月1日が日曜日にあたったため一部の支払いが6月に前倒しで実行されるなど、技術的な要因で歪みが生じたという。

一方、2013年会計年度が開始した2012年10月から最初の10ヶ月間の財政赤字は6074億ドルと、2012年度同期の9738億ドルから38%縮小した。ホワイトハウスは今年度の赤字が7590億ドルに達すると予想している。これは2009年にオバマ米大統領が就任して以降で最低水準。景気の回復に伴い歳入が14%増加した一方、政府が実施している強制的な自動削減により歳出が3%減少した影響。歳入は最初の10ヶ月で2.29兆ドルに上る。自営業による予定納税も28%増加。高額所得者向けの税率が引き上げられたほか、ブッシュ減税の一環であった雇用税2%優遇措置が解消された結果。

ただ、米国の財政赤字の縮小を誰もが歓迎しているわけではない。国際通貨基金(IMF)は7月末に発表した報告の中で、本年の米国の財政赤字の削減ペースが速すぎると警告。厳しい財政政策が2013年の米国の経済成長率を1%ポイント以上押し下げると見ている。IMFは米国に対し、歳入を引き上げ、給付金制度向けの歳出を削減するような中期的な計画を導入する必要性があると指摘した。

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長も議会証言などで度々、急激な歳出の削減を警告。議会に対し、財政赤字の削減には中長期的な計画が必要だと再三にわたり訴えてきた。10月1日には政府資金が枯渇すると財務省が予想している。債務の上限引き上げに関しての協議で、理にかなった歳出削減の合意がなされると、FRBが資産購入の縮小を強いられる可能性も減る。ホワイトハウスと議会の協議の期限が迫る。《KO》

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