原発再稼働の経済的メリットはどれくらい?海外紙が日本のレポートを紹介

2013年8月8日 11:55

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記事提供元:NewSphere

 日本エネルギー経済研究所(IEEJ)は7日、原発再稼働による経済効果などの予測数値を発表した。

【経済政策志向の国民を説得する試み】

 フィナンシャル・タイムズ紙は、IEEJを「原子力推進派研究グループ」「産業省とのつながりを持つ」と説明している。豊田正和理事長は経済産業省の出身である。

 また同紙は、日本国民は半数強が原発再稼働に反対しているものの、昨年12月の衆院選で再稼働派の安倍首相の当選を阻止するほど強く反対してはいなかった、と指摘している。

【試算の仮定】

 現在、日本は50原子炉のうち2つしか稼働させていない。残りは検査・改修のため停止中である。IEEJはそれらの再稼働について、下記のパターンの試算を行った。

・最初の再稼働が2014年3月以降になり、次年度にも最大6炉しか稼働していない最小ケース

・2015年3月までに28炉が稼働する最大ケース

・2014年3月までに最大6炉、2015年3月までに16炉という中間ケース

 最大ケースは政治的に困難であり、また原子力規制庁(NRA)の検査チーム数を倍増させなければならないという。

【成長加速と化石燃料消費抑制】

 それによると中間ケースでは、日本経済は2015年3月までの年度に、福島事故前の会計年度に比べて0.13%、余計に成長する。最大ケースでは0.25%と推定される。

 さらに、現在約3兆円を要しているとみられる代替燃料輸入のため、赤字となっている日本の貿易収支は、ケースにより1.7兆円の赤字から0.5兆円の赤字まで変化する。中間ケースでも、液化天然ガス(LNG)輸入は今年度には昨年比1.7%上昇して8830万トン、翌年度にはさらに1.5%増えて8970万トンと、過去最高になる。

 なおフィナンシャル・タイムズ紙は、北海道電力・東北電力・四国電力の家庭向け電力料金値上げ申請が6日、承認されたことを報じている。

 また、二酸化炭素排出増は最小ケースで9.2%、中間ケースで6.2%、最大ケースでは3.2%となる。

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