【佐藤修の霞ヶ関裏読み情報】「羽田空港」問題で厳しい選択を迫られている国土交通省

2013年3月18日 10:47

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  羽田空港のC滑走路が延伸されても、大型機は離陸できないのではないかという問題が関係者の間でささやかれている。羽田空港C滑走路を360m延伸させる工事費として、98億円が平成25年度予算案に盛り込まれた。現在、C滑走路は3000mで、欧米路線を大型機で就航するには滑走路長が足りず、60m延伸すればこれが可能となる。しかし国土交通省幹部は、360m延伸しても東京都心に向かって離陸する場合には、3360mをフルに使用することはできないと明かす。騒音問題があり、東京都の上空を旅客機が自由に飛べないためだ。

  羽田空港の滑走路は、現在も騒音問題で東京都心に向かう離陸時には滑走路端から500m手前の地点までに離陸する制約が航空会社には課せられている。延伸してもこの制約は変わらず、2860mの滑走路長では欧米路線を大型機で就航するには旅客や積荷に制限が発生する可能性がある。東京オリンピック誘致が成功しても離発着に制限のある滑走路では、世界からの観光客を招き入れるには大きな支障が残る。騒音問題と自由な運航、国土交通省が苦しい選択を迫られるのは時間の問題だ。

  また一方では、民間航空機の主力として導入されたボーイング787問題も、国交省の悩みの種だ。ボーイングの最新鋭787機がバッテリーシステムの問題で飛行が禁止され2ヶ月、ボーイング社はこのほど応急処置ではない抜本対策という位置づけの対策をまとめ、FAA(米国連邦航空局)に提出した。そこでFAAがこの対策を認めるかどうかに世間の耳目が集まっているが、NTSB(米運輸安全委員会)委員長のデボラ・ハースマンがボーイング787に対するFAAの認証プログラムに疑義を唱え、それがFAAが判断を躊躇する一因とも言われている。

  錯綜を続けるボーイング787問題だが、一方、1000%の安全性が確認されるまで787の運航再開は認めないと発言した、ラフード米国運輸長官は既に退任を表明し、後任の有力候補にはデボラ・ハースマンが上がっている。しかし、FAAは米国運輸省の一部局に過ぎなく、米国運輸長官人事を巡るかけひきに787問題が巻き込まれ、解決に余計時間がかかっているとの見方が現地では強い。事態の推移によっては、787を大量に導入したANA,JALは経営戦略上の重大な変更を迫られることになるが、国交省の航空、観光、運輸行政にも大きな支障が出ることが懸念されている(政治ジャーナリスト・佐藤修)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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